帰りはヴィエンチャン空港で足止めを食らったものの、1時間遅れでハノイに到着。安心の定額制タクシーに乗ったのだが、運転手が道に迷って一向にホテルに着かない。お互い地図を見合って、ようやく到着。お金を払おうと1,500円を渡すと、首を横に振る運転手。メーターを見ると1,700円。せめて迷った分は値段を引くべきだと思ったが、言葉は通じないし、東南アジアに正規料金という概念はないので笑顔でお会計。
単に寝るためだけのホテルは割と豪華。こんなホテルで何もしないのは癪なので、置いてあるバナナを2本食べてから就寝。朝起きたら、雨のハノイの写真を撮ってすぐに朝食へ。ウエイトレスのお姉さんに「コーヒーオチー?」と何回か言われて、訳も分からず頷いているとコーヒーが出てきた。彼女が言いたかったのが「Coffee or Tea?」だと分かったのは部屋に戻った時だった。
ハノイから東京への飛行機の中。少し感傷的になった僕は、大きな歴史の曲がり角を経験した東南アジアの大地を見下ろした。そして、クメールルージュに殺された200万ものを人々を想った。ポルポトとは一体何だったのか。彼は謎に包まれたままその生涯を閉じたが、彼も誇り高きクメール人の末裔。単なる狂人と考えるのは短絡的だと思う。
あれだけ知識や過去を否定する極端に歪んだ思想を実行した割に、彼は過去の遺産の最たるアンコールワットを破壊しなかった。彼は彼で200万という自国民を殺してでも強く新しいカンボジアを創造したかったのかもしれない。愛は盲目。クメールルージュが政権を取った背景には、諸外国により民族の誇りを完膚なきまでに蹂躙された哀れなカンボジアがあることを忘れてはならない。
夜8時に成田空港到着。1週間ぶりの日本は肌寒かった。帰り道、日本食が無性に食べたくなって上野の回転寿司へ。あら汁を頼んで、寿司を数皿いただいた。そして、やはり日本食が世界一だと確信し、自分は日本人だと改めて感じた。寿司は人を国粋主義者にする。
最後に、旅の教訓は様々あるが「旅は最低1週間すべし」と声を大にして言いたい。