翌日は朝8時にハロン湾に向けて出発。日本語ガイドのツアーを申し込んだため、周りは全員日本人だった。途中、ベトナムではネズミを食べるというガイドさんの話に一同驚き。ちなみに食べるのは野生のネズミのみで、家ネズミは食べないとのこと。
ハロン湾は市内から遥か遠くにあり、2時間ほど乗ったところで休憩。休憩所であるお土産屋の一角に、シルクの刺繍をする児童たちがいた。障害を抱えた児童がいるようだったが、大半は見たところ健常者。何故晒し者にしているのか謎。
更に1時間半ほど車に揺られて、ようやくハロン湾に到着。実に4時間近い移動時間だった。ガイドが入場手続きを終えて、僕は早速船に搭乗した。船は30人程度が乗れるジャンク船。まずは大体4人1組でテーブルを囲み、船上でランチをたしなんだ。平均年齢高めの紳士淑女のテーブルのため、うかつに写真は撮れない。墓標を持たぬまま消化されたベトナム料理に黙祷。
ハロン湾の世界遺産たる所以は、海面にどっしりと腰をおろす巨大な奇石の数々。実際に巨石群を目の前にすると、想像以上ではないがなかなかの迫力。同じツアー客と話をしながらの航海のため、思うように写真が撮れなかったのが残念。
途中、水上生活を営む村を訪れ、そこから小さなボートで近くを周遊するミニアドベンチャーを楽しんだ。最後に水上小学校を通りすぎると、船を漕ぐ女性がこの学校は日本が支援してくれたものだと教えてくれた。彼女もこの学校の卒業生らしい。日本とのベトナムの関係は意外に深い。
船に戻り、次は鍾乳洞へ。暑さでくらくらしているにも関わらず、港に着いたら鍾乳洞まで長い階段を登る苦行。中に入ればさぞ涼しいだろうと期待していたら、湿気がひどく汗が止まらない。ライトアップされた内部には少々興ざめした。ガイドさんの話では、この鍾乳洞を見つけた人は大金持ちになったとかならないとか。将来はベトナムで鍾乳洞ハンターを目指すのもいいかもしれない。
ツアー客一同は、日が暮れ始める前に港へ戻った。案外短い航海でがっかり。しかし、ここが世界遺産かどうかに関係なく、単純に船旅は楽しめた。広い海には人間の本能に訴えかける何かがある。もしくは、悩める人間が大きな懐を持つ海に慰めを求めているのかもしれない。
帰りは再び4時間の道のり。途中、休憩と称して強制的にお土産屋に立ち寄ることに。何も買うまいと思っていたが、周りにつられて蓮茶と緑茶と胡椒を買ってしまった。さりげなく見た蓮茶の効能に「放射能防止」の文字があるのには驚愕した。ベトナムにおいて原発事故の2次災害対策はすでに済んでいる。
ホテルについたのは夜8時。疲れた太陽は夜に主役を譲り、同じく疲れた僕は近くのレストランで食事を済ませることにした。外国人向けのレストランなので、てっきり写真つきのメニューがあるかと思ったら英語の表記のみ。ハノイビールと適当に選んだサラダと豚肉の炒め物をひとりで食べた。そこまで安くない店だと思うのだが、これで約500円。この国の相場がわからない。