Tomorroland Part.4 (1日目)

朝5時の DreamVille、寒さで目が覚める

テント [by iPhone]
前夜祭会場 [by iPhone]

寒さで目が覚めたのは朝5時。さすがにこの時間はみんな寝静まっていて、昨夜までの喧騒が嘘のようにキャンプサイトは静かだった。

しばらくして友人らも起きてきたので、朝食を求めて露店エリアへ。まずはコーヒー(薄い)を買い、朝日を浴びながら少しずつ身体を起こしていく。


スーパー [by iPhone]

朝食は露店エリアにあるスーパーで調達することにした。アルコールは売っていないが、それ以外の飲み物と食料は通常の値段で調達できるので本当にありがたい。

実は DreamVille には自由に使えるバーベキュー用のグリルまで用意されている。つまり、食材さえ買えば自炊もできるのだ(ただし火起こしはスタッフがやってくれるため、さすがに早朝からというわけにはいかない)。

スーパーで手羽元とソーセージを買って、バーベキュー場の戻ったら、もう炭に火が付いていた。朝っぱらから肉を焼くのはなかなか豪快な朝食だが、これが一番安いので一石二鳥だったりする

しかも、グリルを囲んでいると、自然と近くのグループとも会話が生まれる。安くて、うまくて、交流までできるなら、フェス飯よりこちらの方がずっとお得。

Tomorrowland を抜けても続く徒歩地獄

朝食を終えたら、僕と友人Kはいったん Tomorrowland を離れ、ホテルにチェックインするためアントワープへ戻ることにした。

まずはキャンプサイトから入口まで約30分。昨日あれだけ歩いた道を、今度は逆方向へひたすら進んでいく。そして入口に着いたところで、衝撃の事実が判明した。

──Boom 駅までのシャトルバスが出ていない

どうやらシャトルバスは開催期間中ずっと走っているわけではなく、到着時や終了時など限られたタイミングだけらしい


路 [by iPhone]
路 [by iPhone]

仕方なく駅へ向かって歩き始めると、同じ方向へ歩いているカップルがいた。もしやと思って声をかけてみると、見事に同じシャトル難民だった。

男性はポルトガル出身で、女性はイタリア出身。国籍はバラバラだが、駅までどうやって行くんだという悩みだけは共通している。

さすがにここからさらに30分歩くのはしんどいので、みんなでUberを呼んでみることにした。ところが、こんな場所まで来てくれる車がまったく見つからない

結局、僕たちの選択肢は徒歩しかなかった。しかし、Tomorrowland に来なければ出会うこともなかったカップルとベルギーの片田舎を一緒に歩いたのは、これはこれで思い出になった。

避難用ホテルと怪しいおじさん

ホテル [by iPhone]

今回のホテルは、テント生活から避難するために取った安めの宿。安めとはいっても、そこはヨーロッパ。これでも1泊2万円を超えている。

予約サイトのレビューには、「怪しいおじさんがいる」「あまり清潔ではない」といった不穏な書き込みもあった。ただ、駅前のホテルでそこまでひどいこともないだろうと、あまり気にせず予約していた。

ところがチェックインしてエレベーターを降りると、いきなりニヤつくおじさんが通路に座り込んでいた。おそらく清掃員か何かが休憩していただけだと思うが、女性ならかなり怖いと思う。

肝心の部屋は、シャワー室から下水のにおいがする程度で、慣れている自分には全然問題なし。DreamVille のテントと比べれば、屋根とベッドとシャワーがあるだけで十分すぎる。


僕と友人Kは交互にシャワーを浴びて、買い物と食事のため街へ出た。とりあえず、喉が渇いたので買い物前にカフェで一服。

ところがブラックのアイスコーヒーを頼んだのに、2回ともクリームたっぷりのカフェラテが出てくる謎の展開。店員さんの態度からアジア人差別とも思えないし、疑うべきは我らの英語力か…。


旧市街入口 [by iPhone]
ユニクロ [by iPhone]

昨夜の寒さに懲りた友人Kは、防寒用のスウェットを求めてユニクロへ。しかし値札を見ると想像以上に高く、あっさり断念。

一通りウィンドウショッピングをしたあとは、東通りにあった中東料理の店へ。そこでモロッコの都市名を冠した Fes Bowl のような名前の料理を注文した。値段は日本円にして約3,400円。

皿の上には肉や野菜など色々なものが盛られていて、ひと言でいうならトルコ料理の盛り合わせ。色々な味が楽しめて、野菜もしっかり摂れる優れもの。日本でも食べたい。

歩き疲れも吹き飛ぶ、初めてのメインステージ

お腹もいっぱいになったところで、再びアントワープから Boom 駅へ。とはいえ朝の徒歩移動ですっかり体力を奪われていたので、アントワープからタクシーで会場へ向かった。

当然ながら電車と徒歩よりは圧倒的に快適。ただ、タクシー降り場からメインステージまでは結局か歩くので、Tomorrowland では何をするにも歩く覚悟が必要だ


メインステージ [by iPhone]
Mainstage Ceremony

そして初めて目にしたメインステージは、まさに巨大なディズニーランド。アトラクションのように様々なステージがあり、歩いているだけで興奮する。

そして、メインステージはバックに巨大な顔が配置され、噴水や滝、無数の照明やレーザーまで組み込まれていて大迫力。知らないひとがこれを見て DJ 用のステージだと思う人はいないだろう。

Youtube では何度も見ていたが、実際にその場に立つとスケール感がまるで違う。Tomorrowland が音楽だけでなく、世界観そのものを売りにしているフェスだというのが一発で分かる。


Freedomステージ [by iPhone]
フリーダム [by iPhone]
Miss Monique presents BIORHYTHM 

とはいえ、まず向かったのはメインステージではなく Freedom ステージ。お目当てはウクライナのDJ、Miss Monique だ。

Freedom は巨大な屋内ステージで、音量も申し分なし。外のメインステージとはまた違い、暗い空間の中で音と映像に集中できるのがいい。

そして結論から言えば、今回の Tomorrowland で一番よかったのが彼女のセットだった。到着早々にいきなり個人的ベストを引いてしまった。

派手な格好ほど普通に見える異次元のフェス会場

続いて、メインステージへ戻って、すでにアクセル全開の友人Tと合流。彼はド派手な浮世絵風の法被を羽織っていて、遠目からでもすぐ分かるくらいインパクトが強烈だった。

ただ、もっと恐ろしいのは、これでも Tomorrowland ではそこまで目立たないこと。周りを見渡せば、同程度の派手な衣装や謎のコスプレがいくらでもいる。ある意味、普通のTシャツのアジア人が意外と一番目立つかもしれない。

爆音のAtmosphereでついにSara Landry

この日の大きな目当ては、Atmosphere ステージの Sara Landry。会場は日本の大箱くらいのサイズなので、入れなくなる事態を避けるため、ひとつ前の Nico Moreno から待機することにした。

Nico Moreno は、これでもかというくらいコテコテのハードテクノ。さすがにこの手の音を長時間浴び続けるのは少々しんどいが、なんだかんだで結構楽しめた。


Sara Landry Unexpectedly Pulls Up

中でもハイライトは「Because They Want Our Seat」がかかった瞬間。なんと Sara Landry 本人が姿を見せ、一気に会場のテンションが上がった。


Sara Landry at Atmosphere

そして Nico Moreno が終わると、いよいよ Sara Landry。一時期ほどの熱は冷めたとはいえ、今でも間違いなく一度は見ておきたかったDJのひとりだ。

かなり前方まで来ていたので、彼女のプレイする姿もしっかり見える。ただ、最初のうちは

本当に目の前にSara Landryがいる!

という興奮が勝って、肝心の曲がほとんど耳に入ってこなかった。

好きなアーティストを初めて目の前で見たときの、あの妙な現実感のなさ。こんな感覚になったのは本当に久しぶりだった。

終盤になると、Sara Landry らしく BPM をさらに上げ、サイケデリックな要素も混ざってくる。轟音が次から次へと押し寄せ、もはやクラブというより戦場に放り込まれたような激しさだった。

ようやく彼女を生で見られたという達成感に加えて、セットの満足度も十分。爆音の余韻に包まれながら、本当に Tomorrowland まで来てよかったと素直に思えた。

フェスの後も長い、午前1時半の帰還戦

終演後 [by iPhone]

ただ、遠足は家に着くまで終わらない。昨夜のテントの寒さに完全に打ちのめされた僕は、この日は何がなんでもアントワープのホテルに泊まると決めていた。

Tomorrowland 期間は、深夜でもアントワープ行きの臨時列車が1時間に1本くらい出ている。次の便までギリギリなので、Sara Landry のステージが終わるなり、余韻に浸る暇もなくすぐさま駅へ向かった。

ここからが再び長い。疲れ切った身体に鞭を打って早歩きした結果、どうにか午前1時30分の電車に間に合った。


臨時列車 [by iPhone]

列車は大量のフェス客を運ぶための2階建て。とにかく人を詰め込めるので、席に座れるかは別として、乗れないということはなさそうだった。

もちろん僕に座席は回ってこない。通路に立ったまま、同じように疲れ果てた参加者たちと一緒にアントワープまで揺られていく。

数時間前まで爆音の中で踊っていた人たちが、今は誰もが静かに帰路についている。Tomorrowland 初日の最後に待っていたのは、派手な演出でもテクノでもなく深夜のくたびれた満員列車だった。

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