なぜか全員集合!旅の行き先は…まさかの香港
それぞれ別の友人グループと旅行の話をしていたはずが、気づけば何故か「じゃあみんなで香港に行こうか」という流れになった。
もちろん香港を選んだ理由はいくつかある。まず、現地で働いていた元同僚が結婚したというニュース。せっかくなら直接お祝いも兼ねて顔を出したい。
そしてもうひとつ、あのコロナ禍でお蔵入りとなった アフタヌーンティー計画 のリベンジ。貴族のように優雅に紅茶をすすって、子供のようにスコーンをほおばりたい。
この旅は、毎年恒例になりつつあるただ楽しむだけの友達旅行。気を使わず、好きなものを食べて好きに過ごせばOK。
旅慣れメンバー、選ぶは深夜便


今回のメンバーは4人全員、旅慣れている。そのため、当然のように選んだのは、羽田発・深夜便。なるべく節約したいというのは伏せて、時間を無駄にしないのが玄人の流儀 としておこう。
女性2人(S、N)と一緒ということで、まずは免税店でウィンドウショッピング。ティファニーの店先で目に飛び込んでくるゼロの多さに、軽くめまいがする。
しかし、不思議なもので、高いものばかり見ていると 5万円のイヤリングが手ごろに見えてくる のだから、ラグジュアリーの魔力は恐ろしい。
出国したら、小腹を満たそうとフードコートへ。が、インバウンド価格が壁となり、僕とSはパンやサラダで軽く済ませることに。が、この写真ですら800円近く。空港価格、おそるべし。
一方のNは 絶対六厘舎食べる との宣言通り、深夜にがっつりつけ麺を食べていた。気合いのベクトルがひと味違う。
薬局に夢中な人たちと、荷物番の僕



友人からもらった睡眠薬のおかげで、機内ではしっかり3時間の睡眠を確保できた。旅のスタートダッシュとしては上々。
朝7時に香港着。まずはオクトパスカードを入手し、集合場所の 尖沙咀(Tsim Sha Tsui)へ向かった。MTRから地上に出ると、人通りはやや落ち着いたものの、変わらぬ街の空気にホッとする。
女性陣は近くにあったドラッグストアに興味津々で早速吸い込まれていった。その間、僕は荷物番。なぜかその姿がやたら哀愁を帯びていたらしく、彼女たちは撮った写真を見て爆笑していた。
まさかの閉店で、朝の予定が白紙に!?



実は朝食はあらかじめ決めていた店が尖沙咀にあったのだが、探しても見つからない。近くの人に聞いてみたところ、なんと店じまいしてしまった とのこと。
仕方なく近くの麺料理屋に入り、ここで別便で来ていた男性Kと合流。お粥と麺料理を頼んでみたら、これが大正解で全員絶賛。魚介の旨みがじんわり染みたお粥は、まさに 胃にやさしいごちそう だった。
食後に店を出ると、すぐそばに人だかりが見えた。どうやら 人気の焼き小籠包 らしい。食事直後ではあるが、せっかくなので並んで買ってみた(≒800円)。
食べてみると、もっちり厚めの皮にたっぷりスープが閉じ込められている。これが…熱い!そして、スープがこぼれる。味は悪くないが、これはもはや軽い罰ゲームだった。
たどり着いたのは、伝説のあの男の元




女性陣は買い物モードに突入とのことで、ここからは別行動。とはいえ、僕もKもすでに香港リピーター。正直、これといって今さらやりたいこともない。
悩みに悩んだ末、向かったのは海沿いにある ブルース・リー像。
高級ブランドが並ぶきらびやかなエリアに、いきなりキメ顔のブルース・リー。どうにも場違い感がすごい。しかし、僕らの世代の香港スターといえば、やはり彼しかいない。
Kと交互にポーズを真似して撮影ごっこをしていたら、ふらっと現れた中年女性が参戦。なぜかノリノリで掛け声まで再現してくれて、思わぬ国際ブルース・リー交流が成立した。
本日のメインに備えて、あの宿へチェックイン


散策を終え、いよいよ本日のメインイベント、アフタヌーンティーに向けて一度ホテルへ。今回もおなじみの 重慶マンション。毎度テンションは上がらないが、予算と立地の都合でやむなし。
それにしても、あの独特な活気がずいぶん薄れていて、客引きがほとんどいない。静かなのはありがたいが、ちょっとだけ物足りない。
部屋に入ると、予想通りの白い牢獄。もちろん清潔ではある。が、窓もなく息が詰まりそうな空間に、入った直後から一刻も早くここから出たいという衝動に駆られる。
──こんな思いをするならもっと高いホテルにすればよかった…。
しかし、こう思うのは決して初めてではないわけで。
ペニンシュラ香港で優雅な午後




アフタヌーンティーの本場といえばもちろんイギリス。だが、香港でそれを広めたのは他でもない、これから訪れる ペニンシュラ香港 らしい。さっきまで白い牢獄にいた身としては、急なランクアップにやや戸惑う。
襟を正して中に入ると、天井は高く、柱は堂々。すさまじい高級感の重圧を受け止めきれない。それでも気持ちを切り替え、席へと向かうとすでにみんなが待っていた。
まずは紅茶を注文し、前菜のコロッケでウォーミングアップ。しばし談笑していると、ついにアフタヌーンティーの主役である3段トレイのお出まし。
1段目は王道のスコーン、2段目は名物のキューカンバーサンド、そして3段目はケーキ。見た目以上にボリューム満点で、全部食べきったら今日一日のカロリーを余裕で突破する。
2階から流れる生演奏をBGMに、紅茶とスイーツを味わう90分。まさに非日常の贅沢だ。
これで15,000円なら、体験としては大いにアリだと思う。スコーン片手に、牢獄の記憶は一瞬で(一時的に)吹き飛んだ。
真のメインは香港ガールズとの再会!

いくらアフタヌーンティーが贅沢でも、今日の真のメインはここから。なんと、モロッコで出会った香港ガールズとの再会ディナー。モロッコで香港か日本で会おうと話していたら、まさかの現実になった。
集合場所は、尖沙咀から電車で20分ほどの 茎灣西。ベッドタウンのような駅で、出口が多くて迷子になってしまった。久しぶりの再会と思いきや、モロッコから2ヶ月しか経っていないので、彼女たちとの再会は至って自然だった。
言語が飛び交う異種格闘ディナー







やって来たのは、広東料理の 楚燃記 というお店。周囲には巨大な市場があり、街全体が活気に満ちている。
そんな喧騒を抜けて2階へ。席につくと軽く自己紹介を交わし、早速オーダー開始。
食事の前に始まったのは、香港式の 食器洗いの儀式。お茶を使って自分たちの器を洗うという独特の習慣に、日本チームは興味津々。ついにはその様子をスマホで撮影し始め、シュールなカルチャーショーになっていた。
メニューは酢豚やチャーハンをはじめ、説明はできないが魅力的な広東料理がずらり。次々に運ばれてくる料理でテーブルはあっという間に満杯に。気づけば合計8品。
「ちょっと頼みすぎた?」と笑っていたら、香港チームから「香港では7は縁起が悪いから、8品にしたの」と教えてもらう。おそらく日本の「4」と似たような感覚だろう。
料理はどれも抜群においしく、英語、広東語、日本語が入り混じるカオスな飲み会になった。僕にとっては、モロッコで出会った友人と、日本の仲間が一堂に会した特別な時間。一方で、自分が異種格闘技戦の主催者になったような不思議な気分だった。
旅がつなぐ縁


食後、どこかで一息つこうと SOYMart という豆乳系カフェへ。
正直お腹はパンパンだったが、メニューに 亀ゼリー入り豆乳 を発見してしまい、条件反射で注文してしまった。値段は500円程度で、味はパーフェクト。日本でもぜひ出店して欲しい。
香港ガールズとはここでお別れ。方向が逆なので茎灣西の駅で手を振った。
1軒目では全額ごちそうになってしまったので、後からWhatsAppで丁寧にお礼を。聞けば、外国人をもてなしたのは今回が初めてだったそうで、その第一号になれたのは素直にうれしい。
考えてみれば、彼女たちとはモロッコのツアーで偶然一緒になっただけの間柄。それがこうして香港で食事を共にして、文化を交わし合えるとは、不思議な旅の縁としか言いようがない。
今度は彼女たちが富士山登山を考えているそうなので、次は僕たちが日本でもてなす番。
余談:現実はいつも重慶マンションからやってくる


一日を振り返って気分よく帰れるのは尖沙咀まで。重慶マンションに差し掛かると途端にテンションが失速する。
全然こないエレベーター に 窓のない部屋。夢の世界から現実へ。シンデレラの中年逆バージョンだな…。