ついに最終日、旅はまだ終わらない


モロッコをぐるりと1周したこの1週間。よくここまで詰め込んだものだと、自分で自分を褒めたくなる。
それでも、まだ旅は終わりではない。フライトまでのわずかな時間を使って、最後の目的地として ハッサン2世モスク(Hassan II Mosque)へ行くと決めていた。
ホテルの朝食は屋上だった。涼やかな風に吹かれながら、コーヒーとフレッシュジュースを味わう。喧騒続きだったモロッコ旅の中で、ようやく訪れた束の間の休息になった。
旅のラストミッション、ハッサン2世モスクへ





タクシーで約5分、目指すはカサブランカで唯一行く価値あると噂される ハッサン2世モスク。
午後一のフライトが控えているため、滞在時間は わずか30分。それでも、次にモロッコに来る保証はない。後悔を残さないことこそ、旅の鉄則。
モスクに到着すると、チケット売り場にはすでに行列。焦る気持ちを抑えつつ、5分ほど待ってようやく買うことができた(≒2,000円)。
外に出ると、目の前には広大な敷地。そして、その先には 世界第2位の高さを誇るミナレット(礼拝時間を告げる塔) と、驚くほど緻密な装飾が施された建築群。イスラムとモロッコの伝統をモダンなフォーマットで再現したような美しさに、一瞬で心を鷲掴みされた。
時間が迫る中(30分!)、少しでも建物の中を覗こうと近くの扉へ駆け寄ると、「入り口はあちらです」とスタッフに丁寧に案内された。が、その「あちら」がとてつもなく遠い。
飛行機を逃すわけにはいかず、泣く泣く中の見学は断念。それでも、最後にここを訪れたのは大正解だった。カサブランカに来たら、ここは訪れるべし。
最後のタクシー交渉、ぼったくり込みで即決



時間がなかったので、近くに停まっていたタクシーに声をかけた。ぼったくりは覚悟の上だったが、案の定、相場の倍近い値段をふっかけられる。
とはいえ、日本円にして数百円レベル。ここで揉めて時間をロスするよりはマシと判断して、そのまま乗車することにした。
ただ、面倒だったのが運転手。車内でしきりに「空港まで安く送るよ」と営業トークを畳みかけてくる。「すでにぼったくってるくせに…」と、心の中でツッコミつつ、一切無視して外を眺めた。
最寄りの Casa Port駅 に着いてからは、お菓子のお土産を急いで購入し、そのまま電車で空港へ。順調かと思いきや、空港入り口の荷物検査でまさかの大行列。
ゲートが少なく、全然進まない。横にいた中国系の男性と無言で舌打ちを交わしながら、30分以上ひたすら待つ羽目に。余裕を持って3時間前に来て正解だった。
入ってしまえば、あとはもうやることなし。残った現金を使い切るべくカフェに入ると、なんとなく頼んだセットが 本日2回目のカフェラテとフレッシュジュース だった。
北京行きのチケットがない!焦りと冷静のはざまで



帰りのフライトは行きと同じく Transavia で、まずはアムステルダムへ向かった。定刻通りに到着し、順調な旅路と思いきや、ここでひとつ問題が。
アムステルダムでの乗り継ぎ時、なぜか北京行きのチケットが発券されていなかったことに気づく。一瞬、血の気が引いたが、スタッフに尋ねたら涼しい顔で対応してくれた。乗り継ぎは何度経験しても慣れない。
ちなみに機内食の焼きそば(Chicken Noodlesか?)が思いのほかおいしかった。モロッコのスパイスに慣れた舌には、久々のアジアの味が沁みた。
久々の北京、たらい回しと私物没収の洗礼を受ける




10時間のフライトを経て、久しぶりの北京に到着。格安チケットの都合で、ここで 丸一日トランジット滞在 という地獄のスケジュール。
予想通り、中国の入国は一筋縄ではいかず、セキュリティは厳重、空港職員の対応は適当 だった。アムステルダムで急遽発券してもらったチケットが災いしたのか、何度もたらい回しにされて早速げんなり。
とどめは、スマホ用のモバイルバッテリーが没収 されたこと。理由は「安全基準の表示がはがれて確認できないから」とのこと。ネットで噂は聞いていたが、まさか自分がその当事者になるとは…。
とはいえ、北京空港の 流線形の近未来的な建築 は本当に美しく、その空間を歩いているうちに、先ほどの嫌な体験も忘れそうになる(忘れるとは言ってない)。
時間は午後2時。小腹が空いてきたので、香港料理の店(Hing Tai HK Cafe / 新紮師兄冰室)に入って恒例の又焼飯(≒1,000円)を注文した。本場の味にはおよばないが満足度は高い。
食後は、空港内で見つけた寝転べるイスに身を委ね、ひたすらスマホを眺めてまったりモード。うつらうつらしている間に、空はすっかり夕暮れに染まっていた。
夜はラウンジでひと息、ビールとシャワーでリフレッシュ





夜は事前に予約していた空港ラウンジへ。軽食付きなので、まずはビール片手に小腹を満たす。
食後、シャワーを浴びようと受付の女性に声をかけたところ、卒ない笑顔で案内してくれた。ところが、説明のたぐいは一切なく、シャワー室に入ると タオルが置いていない。
仕方なく再び受付に戻って聞くと、シャワー室のとなりからタオルを持ってきてくれた。悪気はないのだろうが、笑顔で気遣い&説明ゼロ は有料の施設としてありえない。
とはいえ、モロッコ以来、初のシャワーなので気分は上々。ラウンジに戻ってビールを取ると、横で酔っ払いの欧米人男性がカップ麺の作り方が分からず悶絶していた。
寒さとの戦い、眠れぬ深夜の空港


マッサージチェアで夜を乗り切ろうとしたが、空港内がまさかの極寒モード。ブランケットもなく、座っているだけでじわじわ体温を奪われる。
気づけば時刻は午前2時。このままでは 消極的徹夜になる と判断し、ファミリーマートでポテチでも買って眠気を誘う作戦に。
が、ここでまさかの追い討ちが待っていた。
バイトと思しき若い女性の店員のやる気が全くない。それどころか、「客=自由を奪う敵」とでも思っているような態度だった。
声を一切発さず、商品の扱いも雑、レシートも出さない。あまりの投げやりな接客に、周囲の客も呆れ顔だった。ここまで清々しいレベルで酷い接客を見るのは久しぶりで、貴重な体験すぎて遠くから写真を撮ってしまった。
羽田到着、旅の終わりに思うこと




数時間の仮眠をとって、ぼんやりした頭のまま空港の端にあるマクドナルドへ向かった。
世界共通の安心感を期待したのに、なぜか北京空港のはびっくりするほどまずい。目が覚めるどころかテンションは急降下。まさかの最低の朝食で最後の食事を締めくくる羽目に。
バッテリー没収から始まった北京でのトランジットは、振り返れば不運の連続。星をつけるなら、文句なしの星ひとつ。
そんなこんなで午前10時前のフライトに乗り、無事に羽田へ帰還。北京の体験はなかなかのものだったが、それでもモロッコ旅行の輝きには一切傷がつかない。
今回は事前に強い期待もなく、ニュートラルな気持ちで旅に臨めたこと がよかったのかもしれない。思い入れがなかったからこそ、想像を超える雄大な砂色の自然に心が動かされた し、人懐っこくも時に商売っ気が過ぎる モロッコ人たちの性格を許容することができた と思う。
そして、ツアー参加も大きな収穫だった。自然と人との触れ合い という、ダークツーリズムと真逆のテーマも面白い。旅はすればするほど、物語は広がり、そして重なっていく。
さて、次はどこに行こうか――その答えを探すのも、旅の楽しみのひとつだ。早く次の行き先を決めなければ。
おまけ:Timeshifterによる時差ボケ対策

今回、英語の先生のすすめで Timeshifter という睡眠調整アプリを試してみた。結論から言えば、見事に時差ボケ回避に成功。
アプリは旅程に合わせて、無理のない範囲で「この時間に寝るといい」「この時間は光を浴びよう」などのアドバイスをしてくれる。正直、7割も守れなかったが、それでも睡眠のみちしるべとして十分な効果があった。
2回目以降はサブスクリプション制 になるが、年に2回以上海外に行く人なら登録して損はないかも。