フェズからカサブランカへ、4時間の“試練”の旅


フェズからカサブランカまでは、約4時間の列車移動。今回も安いチケット(≒2,500円)なので、座席は6人用のコンパートメント。
多少の暑さは覚悟していたが、斜め向かいのおじさんから放たれる 強烈なニオイに早々にギブアップ。明らかに風呂も洗濯もご無沙汰な様子だったが、周囲の乗客が何食わぬ顔で座っているのが逆にすごい。
マラケシュ行きのときと同じく、換気を求めて車両の接続部分へ避難。ここは風が通って本当に快適…と思ったのも束の間、ふと目に入ったのは まさかの全開のドア。
日本では完全にあり得ない光景だが、もう驚くのも疲れた。とはいえ、風は心地よく、(車窓越しでない)生の景色を眺めながら気分をリセットできた。
モロッコの玄関口、カサ・ヴォヤジャー駅に到着



気づけばすっかモロッコ慣れしてきて、4時間の列車移動はあっという間だった。むしろ、景色を眺めながらぼんやり過ごせる貴重なリラックスタイム。
到着したカサブランカのハブ駅、カサ・ヴォヤジャー駅(Casa Voyageurs)は予想を超えるモダンさ。構内には飲食店や商業施設が立ち並び、旅行客が至る所でせわしなく歩いていた。
特に印象的だったのは、駅の外に出た瞬間に現れる 幾何学模様のひさし。まるで空に浮かぶレースの屋根のようで、駅全体を優雅に包み込んでいた。
もう夕方なので、早速ホテルへ向かうことに。カサブランカの日差しは他の都市よりも一段と強く、バスを待っているだけでじわっと汗がにじむ。
市内バスの料金は6DHとやや高めだが、大都市価格と思えば納得。さあ、いよいよ旅もラストスパート。
カサブランカのホテル、最後にふさわしい快適さ




今回のホテル(Ryad 91)はとあるマーケットのど真ん中。場所が分かりづらくて少し迷っていると、露店のおじさんが親切に教えてくれた。モロッコは優しさと貪欲さが共存している。
ホテルに着いてみると、スタッフの対応は丁寧で感じがいいし、部屋は小ぢんまりしつつも清潔感がある。1泊1万円という価格帯としては文句なしの満足度。
旅の終盤、ようやく落ち着ける拠点に出会えた気がした。たったの1泊だけど…。
安定の選択、夕食はマクドナルド




せっかくなのでホテルでじっとしているのももったいないと、夕食を求めてカサブランカの中心地へ繰り出す。街並みはヨーロッパ的なデザインと、無機質な都会感が交差していて、観光地としての魅力は正直薄め。
通りを一通り歩いて、最終的に選んだのはマクドナルド。どこの国に行っても一度は安心と安定の味を求めたくなるもの。
頼んだのは Royal Cheese というメニュー。これが予想以上に肉厚で、日本のマックよりも本格的な感じがした。ただし、値段も相応で、70DH(≒1,000円)。インフレを感じるひと時でもある。
食後の甘いひととき、露店デザートで締める


夕食後は、ふらっと露店でデザートを購入。見た目に惹かれて買ったフルーツを手に、近くのベンチで一服。
ゴミ箱のそばの薄汚れたベンチで食べるフルーツはまた格別。においも気になる。味はというと、日本のフルーツと比べると、熟れ具合の違いなのか、甘さ控えめで若干物足りない。
夜のカサブランカ、表情が変わる都会の顔



日が完全に落ちると、カサブランカの街は雰囲気が一変。頼りない街灯に照らされた通りはどこか陰鬱で、都会特有の猥雑さが顔を出す。人によっては、少し怖さすら感じる時間帯かもしれない。
そんな中で何か面白い場所はないかとネットを検索して見つけたのが、中央市場という魚市場。徒歩数分とあったので向かってみると、そこは完全に街の中心にもかかわらず、真っ暗な中に閉まった鉄格子の門。
全体の雰囲気はまるでギャング映画のワンシーンのような不穏さ。本当にここが市場なのかと疑念を抱きながら奥をのぞき込んだその瞬間…
「Hey Bro!! What do you want!?」
と奥から突然、Bボーイ風の男の怒鳴り声。そして次の瞬間、彼はまさかの全力ダッシュでこちらに突進してきた。直感的にこれはまずいと判断した僕は、即ダッシュで逃走。
おそらく、冷静に考えればただの客引きなのだろう。しかし、この状況を外から見たら、なにかヤバい取引に巻き込まれた としか思えないだろう。
マーケットで勃発、怒鳴り合う女性たちのバトル



ということで、夜のカサブランカに見事に拒絶された僕は、無理せずおとなしくホテルへ戻ることにした。
ホテルのあるマーケットに戻ると、今度は露店の女性店主と女性客が 怒鳴り声を張り上げてバトル中。周囲には野次を飛ばして煽る人たちもいて、一触即発の物々しい雰囲気だった。
こんな光景も、日本ではまず見ない(川崎あたりではたまに見る)。混沌とエネルギーが入り混じる、新興国らしい一面 を垣間見た気がした。モロッコは最後の最後まで刺激的。