ドイツ&北ヨーロッパ / Germany & North Europe Part.7-1 (マルメー博物館)

コペンハーゲンの朝、雨とビュッフェと固いパン

雨 [by iPhone]
朝食 [by iPhone]

寝返りを打つのも一苦労な細すぎるベッドから目覚める。そして、体を起こしてカーテンを開けると、

まさかの雨(しかも結構強め)

昨夜、夜な夜な調べたコペンハーゲンおしゃれカフェリストは、一瞬で無意味なものになってしまった。

この雨の中、わざわざ外へ出る気にはならないので、仕方なくホテルの朝食ビュッフェを選択。期待はできないが、温かいコーヒーと食べる物があればそれでいい。

ビュッフェのラインナップは、主に 固いパンにハムとチーズ。もう何度この組み合わせを食べたか分からない。正直、うんざりなメニューだが、みずみずしいパプリカとキュウリがあったのが唯一の救いだった。

雨のコペンハーゲンを捨て、マルメーへ

切符売り場 [by iPhone]

部屋で天気予報をチェックしていると、お隣スウェーデンの マルメー(Malmö)はかろうじて曇りだった。電車で40分だし、コペンハーゲン観光はあっさり中止し、急遽スウェーデンへ行くことにした。

駅の券売機で、慣れない操作に四苦八苦しながらどうにかチケットを買った。すると、出てきたのは名刺サイズのチケット。

デンマークはユーロを採用していないので、金額欄には「96.00 DDK(デンマーク・クローネ)」と印字されていた。その時は、せいぜい500円くらいだろうと軽く考えていたが、後で調べたら 約2,000円 だった。公共料金は安いんじゃないのか、デンマークよ

マルメーをひとりで歩く異邦人

マルメーの街並み [by iPhone]
聖ペトロ教会 [by iPhone]

マルメーはスウェーデン第3の都市。ただ、人口は30万人台で日本のどの都道府県よりも少ない。

人通りもまばらで、 マルメーのことを何も知らない自分がマルメーを歩いている と思うとなんとも不思議な気分。国内では絶対味わえないこの異邦人体験こそ、旅の醍醐味だと言える。

ちなみに、雨はほぼ降っていなかったものの、強風が吹き荒れ、体感温度はコペンハーゲンより寒い。

マルメーに拒絶される男

マルメー市庁舎 [by iPhone]
街並み [by iPhone]

寒さに震えながら、街の中心と思しき広場に到着。そこには、赤レンガの威厳ある建物がそびえていた。調べると、これは マルメー市庁舎。ヨーロッパの地方自治体の建築物は、行政施設でありながらアートでもある。

いったん、このあたりで一服しようと思ったが、問題がひとつ。

──広場が広すぎて、風を遮るものが何もない

しかも、近くの公衆トイレは有料で、現金がない僕には入れない。なんだか街から拒絶されているようで、マルメーに来た意味を問わざるを得ない。

暖を取るため、マルメー博物館へ避難

マルメー城 [by iPhone]
マルメー博物館 [by iPhone]

強風の中、寒さに耐えるのは限界。どこか屋内に逃げ込みたくて観光地を検索すると、マルメー博物館 なるものがあった。

口コミ評価も高く、しかもマルメー城の中にあるらしい。お城の中の博物館なら、きっと雰囲気もいいに違いない。が、意気揚々と向かうも城自体はただのレンガの壁で、完全に肩透かしを食らった。

肝心の博物館は、美術や歴史だけでなく、水族館や自然博物館もあり、じっくり見ようと思えば余裕で1日を潰せそうなボリューム。受付のスタッフもフレンドリーで、さっきまでのマルメーの孤独が少し癒された。

ということで、まずはロッカーに荷物を預けて、美術館へ。前衛的な作品が多く、いい意味で期待を裏切られた。個性が爆発した絵画だけでなく、ミステリアスなオブジェも至る所に配置されていて、言うなれば 混沌のテーマパーク

マルメー城の歴史、デンマークとスウェーデンの関係

マルメー博物館 [by iPhone]

別の入口を抜けると、当時のマルメー城が再現されていた。もともと15世紀に建てられたこの城は、当時デンマークの統治下にあったマルメーの要塞として機能していた。

館内には、当時の偉い人の説明がいくつも並んでいたが、紹介されているのはきっとデンマーク人なのだろう。スウェーデン側からすると、これは負の歴史かもしれない。しかし、遠くアジアに生きている僕からすると、北欧内のよくある小競り合いに思えてしまう。

日本、中国、韓国の歴史的ないざこざも、ヨーロッパの人から見れば似たようなものに違いない。つまり、歴史に絶対的なものではなく、あるのは立場と解釈。

マルメー城の知られざる歴史

マルメー博物館 [by iPhone]

マルメー城は、かつては王の居城。しかし近代になると、刑務所に姿を変えた。城から監獄へ──そんな激動の歴史を知ると、一気にこの場所が違った景色に見えてくる。

ペスト(黒死病)の話から始まる刑務所エリアは、ただでさえ薄暗いのに、ずっと不気味な音声が流れていた。これはもう、お化け屋敷レベル 。子供がひとりで来たら、確実に泣くと思う。

そのまま進むと独房があり、最後のエリアには受刑者の写真が並んでいた。きっと処刑された囚人の写真だろうと思いきや、実は再犯を防ぐために出所時に撮影したものだった。

負の遺産を巡りすぎると、大量の写真が 遺影にしか見えなくなる現象 にそろそろ名前をつけたい。

刑務所の片隅に、ホロコーストの映像

刑務所エリアの片隅に、小さな部屋を見つけた。中に入ると、ユダヤ人のホロコーストに関する映像 が流れていた。

マルメー刑務所にユダヤ人が収容されたことはなかったが、第二次世界大戦時には病院として機能していたという。当時のスウェーデンは、地理的にドイツに譲歩せざるを得なかったものの中立を保ち続けた 。にもかかわらず、ホロコーストという負の遺産を継承しようとする姿勢は、評価に値すると思う。

もしかすると、「スウェーデンの杉原千畝」と呼ばれる(日本が勝手にそう呼んでいる) ラウル・ワレンバーグ の影響もあるのかもしれない。

意味を超越する現代アートの世界

マルメー博物館 [by iPhone]

続いて、現代アートのエリアに足を踏み入れる。最初の美術館も前衛的だったが、こちらはさらに無駄を削ぎ落とし、生身の不条理を突き付けるような作品ばかり。

きっと、この手のものには、現代社会に対する問題提起があるのだろう。しかし、あえて 常に意味付けを求める現代の価値観を否定するアート と捉え、無心で鑑賞するほうが個人的にはしっくりくる。普段お金を払ってこういう展示を見ることがないので、ある意味貴重な体験になった。

博物館の後は、スカンジナビア料理

アートで頭を刺激された後は、水族館と自然博物館をさらっと流し見して、博物館内のレストランへ。スカンジナビア料理が食べられると聞いて、期待が膨らむ。

しかし、メニューは全てスウェーデン語で全く分からない。仕方ないので、周りの人が食べているものをこっそり指さして、魚料理を注文した。

運ばれてきたのは、日本でいうアジの南蛮漬け。青魚の風味と甘酸っぱさが口に広がる、日本人にはホッとする味だ。個人的には、パンとハムより、ジャガイモと魚の方がしっくりくる 。DNAには抗えない。

(続く)

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