次なる目的地、バヒア宮殿へ



マラケシュ博物館を後にし、次に向かうのは バヒア宮殿(Bahia Palace)。場所は フナ市場を挟んで反対側 にあるので、再び市場の雑踏をすり抜けて進む。
歩いていると、道端に タジン鍋を山積みにして売る店 を発見。モロッコといえばタジン料理、というのはわかるが、こんなに大量に並べられるとちょっとしたオブジェのようにも見えてくる。
モロッコの美が凝縮された空間







ハビア宮殿は、19世紀に建てられた宮殿で、モロッコ建築の粋を集めた贅沢な造りが特徴。かつての大宰相の住居だったこの場所は、細やかな装飾と色彩の調和で訪れる人々を魅了し続けている。
入場料は 100DH(≒1,500円)。やや強気な価格設定だが、いざ中へ足を踏み入れると、そこには 観光客とカメラの海。
みんな同じポーズで写真を撮っていて、自分も同じフォームで構えるのがなんだか気恥ずかしい。俯瞰の敗北。
それにしても、青を基調とした清潔感のある色使い、そして繊細さとシンプルさが絶妙に共存するデザイン。まさにこれぞモロッコという世界が広がっていた。
ハビア宮殿の後は、カフェで一服…のはずが


ハビア宮殿を満喫したあとは、フナ市場へ戻り La Casa Berbere というカフェでひと休み。歩き回った後のカフェタイムは至福の時間…のはずだった。
注文したのは アイスコーヒー。しかし、目の前に運ばれてきたのは 氷の塊がたっぷり入ったグラス。
──しまった…!
そう思ったものの、もう遅い。新興国では 氷=お腹を壊すリスク。のんびりティータイムのはずが、カフェインを一気飲みする羽目になってしまった。
そして 嫌なことは続くもの。会計の際、20DH程度のコーヒーに対して50DHを渡したのに、返ってきたのは数DHのみ 。明らかにおかしいのだが、数百円で揉めるのも面倒なので諦めることにした。
サアード朝の墳墓群、12円柱の間はまるで宮殿







次に訪れたのは サアード朝の墳墓群(Saadian Tombs)。
16世紀のサアード朝時代に築かれた霊廟で、マラケシュの歴史的な見どころのひとつ。王族や貴族が埋葬されており、特に 12円柱の間 は豪華な装飾が施された必見スポットらしい。
しかし、ここは入り口がとにかく分かりにくい。地元の人に何度も指さされながら、どうにかたどり着いた。
入場料は ハビア宮殿と同じ100DH(≒1,500円)。中に入ると、まるで公園のように開放的な空間が広がった。そして、足元には至る所に長方形のタイルが敷かれている。
──これがもしかして 全部お墓?
日本のお墓のイメージとはまるで違い、見た目はおしゃれなタイルの床のよう。
奥へ進むと、小さな入口の前に人だかりができていた。どうやらここが 12円柱の間 らしい。しかし、中には入れず、狭い入口から覗く形式なので、たいして混んでもないのに 順番待ちは10分以上。
12円柱の間に埋葬されているのは、アフメド・アル・マンスール というサアード朝最盛期を築いたスルタンらしい。そして内部の装飾が お墓とは思えないほど豪華。煌びやかな装飾に囲まれた霊廟は、もはや小さな宮殿という印象。
ただ、ここで1,500円の価値を感じるには、もう少しモロッコの歴史を知っておくべきだったかもしれない。
突然の危機…マラケシュでトイレ探しの冒険




次はどこへ行こうかときょろきょろしながら街を歩いていたとき、突如として 強烈な便意が襲来。まさか 先ほど飲んだコーヒーか と疑いはしたが、原因を特定している場合ではない。
──とにかく トイレを探さねば…!
しかし、周囲を見渡すと バイクや車の修理屋ばかり で、カフェやレストランの気配がない。どこかにあるはずだと冷や汗をかきながらぐるぐる探索していると、ついに 救世主を発見!
それは カフェを併設したホテル だった。
宿泊客の視線を背中に感じながら、店員にトイレの場所を尋ね、なんとか間に合った。本当にギリギリの駆け込みセーフ。
旅をしていると トイレの確保が死活問題 になることがあるが、これはもっと議論されてもいいテーマだと思う。
無事に危機を乗り越えたあとは、一気に気が抜けて脱力モード。せっかくなので、そのままカフェでひと息つくことにした。
店内は 僕以外に客ゼロ という貸切状態。窓からの景色もよく、しばしの癒しタイムとなった。
しかし、会計時にひと悶着発生。
現金払いを求めるスタッフと、カード払いをしたい僕の 静かな攻防戦 が始まった。最終的にはカードは使えず、僕が折れて 現金で支払うことになった。こうして、貴重な現金がまた減っていく。
ちなみに、あとで調べたらこのホテル、実は Riad Marrakech By Hivernage という5つ星ホテルだった。ならカードOKでしょ…。
夜ごはんは…恒例のアレ



朝から散々歩き回ったにも関わらず、朝食のフレンチメニューが重すぎた せいで、ホテルに戻るまで空腹を感じることがなかった。そして、ふと気づけばそろそろ日が暮れはじめている。
「よし、夕食に繰り出そう!」と思ったものの、明日からは サハラ砂漠で長時間移動。このタイミングで胃腸に負担をかけるのは 自滅行為 でしかない。
そう思い、近くの売店で何か軽いものを買おうとしたものの、これといったものが見つからない。
結局、海外旅行の恒例である「ローカルポテトチップス&水」に落ち着いた。
どう考えても胃腸に優しくない選択肢ではあるが、無類のポテト好きとしては外せない。せめてもの気遣いとして、普段の倍以上噛んで食べる という努力はしてみたことを、ここに報告しておきたい。