ハンブルク最終日。朝7時に起きてもまだ日は昇らない。目をこすりながら先輩から頂いたお土産を整理しつつ、出発の準備をした。今日も先輩と一緒に一日ハンブルクを観光して、そのままデンマークに移動する予定。外は変わらず曇天で、バスを待っていると冷たい風が体に染み込んでくる。
1時間強でハンブルク中央駅に着いて、まずはチリハウス [Chilehaus] という建物を見にいった。牛の血を混ぜて作ったらしい黒いレンガが重厚な印象的を与えるが、注目は建物の設計。正面から見ると滑らかな波形になっているのに、端からみると尖塔のように尖っている。これが実用的かはともかく、トリックアートのような造りは先鋭的で面白い。
ハンブルクは地形的にエルベ川が流れ込んでいるため運河が多く、貿易の拠点でもあったことから巨大な物流機能を有していた。そのため、この一帯は「ハンブルクの中心倉庫街とチリハウスを含む商館街」として世界遺産に登録されている。それにしても、ドイツは石を投げれば世界遺産に当たると言っていいくらい世界遺産が多い(気がする)。
倉庫街を歩いて、先輩が映えスポットとして紹介してくれたのがポグゲンミューレン橋 [Poggenmühlen-Brücke] 。ここからレンガの倉庫がずらりと並ぶ運河の先に目を向けると、遠くに橋に挟まれた建物が見える。美しきヨーロッパ的シンメトリーの世界。
次に訪れたのはニベアの本店。ニベアがドイツの化粧品メーカーなのは知っていたが、ハンブルク発祥とは知らなかった。場所はハンブルク中央駅の少し北、ユングフェルンシュティーク [Jungfernstieg] という、銀座のような高級感のある通り沿いにある。店内はクリスマスに合わせた限定品がたくさんあり、ファンなら大人買いしたくなること請け合い。個人的にはハンドクリームの印象しかなかったため、商品ラインナップの多さに驚いた。
ニベアの後は近くを散策して、小綺麗なショッピングモールに入った。そして、中東系の人が売っていたグリューワイン(ホットワイン)を買って一服。これが意外に美味しく、2人で舌鼓を打った。ドライいちじくを中心に謎のスパイスが効いていて、複雑かつ玄妙な味わい。ドイツといえばビールがステレオタイプなイメージだが、寒さの厳しいクリスマスシーズンはやはりグリューワインに限る。体が芯から温まって寒さを忘れられる。ただし、それが束の間なのは言うまでもない。
(続く)