ベルリンもあっという間に最終日。ホテルをチェックアウトして、小雨の中ベルリン中央駅に向かった。そして、駅に着いたらパンとコーヒーを求めてマクドナルドへ。ここは日本と違ってごみごみしていないので本当に過ごしやすかった。カフェの過ごしやすさとは、お洒落さでもコーヒーの味でもなくパーソナルスペースがどれだけ確保されているかだと思う。
この日は夕方にベルリンを離れなければならないので、近場の観光に決めていた。初めに訪れたのはブランデンブルク門の近くにある虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑。高さがふぞろいの石碑が規則的に果てしなく並んでおり、異様にも壮観にも見える。この記念碑を建てるにあたってはドイツ国内でもかなり議論があったようだが、それも頷ける巨大さ。
石碑の間に入ると文字通り壁に囲まれた状態になり、抗えないような圧迫感に包まれる。人がほとんどいないので、衝突を気にせず石碑の中をふらふら歩いた。すると、曇り空も相まって時折永遠に石碑が続くような錯覚に襲われる。ユダヤ博物館と同様、ホロコーストを追体験してもらおうという意図なのだろう。
次の目的はテロのトポグラフィー [Topographie des Terrors]。先ほどの記念碑から徒歩圏内にある。ここはゲシュタポやSSの本部があった場所で、つまるところナチス権力者の巣窟だった。展示は館内と屋外の2ヶ所あり、どちらにもナチスの悪行が洗いざらい公開されている。当時の新聞や写真がふんだんに使われているので、ドイツの一般人の目線でナチスの盛衰を理解できた。また、屋外の展示はベルリンの壁沿いにあり、ベルリンの壁の原型を見ることができる。
無料とは思えないボリュームの展示を見て、ドイツの反省の本気度を感じたし、一方でこの手の展示を日本でやることは不可能に近いだろうと思った。一部でドイツの反省はナチスを外部化して非難することでドイツとしての反省をしていないという批判もあるが、20世紀最大の人権侵害をここまで詳述して公開していること自体は大いに評価に値する。ドイツほどでなくても、日本で自虐でもなく否定でもなく、単に日本が第二次世界大戦でしたことを可視化することはできないだろうか。
テロのトポグラフィーを早々に切り上げて(切り上げないと一日が終わる)、お昼を食べに近くのポツダム広場 [Potsdamer Platz] まで歩いた。例の宣言で有名なポツダムということで会談の場所でも見れるといいなと思っていたが、これが大いなる勘違い。ポツダム広場とポツダム会談が行われたポツダムは全く別の場所だった。紛らわしい地名をつけるなと文句を言いたくなるが、横浜と新横浜が全然違う場所にある以上、声高にドイツを責められない。
ポツダム広場は日本でいう六本木のような場所で、観光客の外国人が多く、ホテルやオフィスなどの高層ビルが乱立している。ショッピングモールも近くにあったが、駅前にクリスマスマーケットを見つけたので、ここで軽食を食べることにした。が、当然ながらホットドッグだけでは収まらず、結局ワッフルも食べてここで満腹。
(続く)