昨今のSGDsの流れと関係なく、水俣病にはじまり公害問題に興味が湧きはじめた。その中で(物理的に)身近な公害といえば足尾銅山。炭鉱や銅山は過酷な労働が注目されがちだが、足尾銅山に関しては鉱毒を溜め込む遊水地を作るために廃村になった谷中村の存在がある。
ということで、今回は足尾銅山から谷中村(跡地)を巡ってみることにした。まずは電車ではるばる日光へ。そして、そこから足尾銅山行きのバスに乗る。道のりは長い。
銅山観光前でバスを降りると、そこはこじんまりとした田舎町だった。足尾銅山はそこから歩いて5分ほど。入口のアーチは無理にキャッチ―さを演出しているようで侘しい気持ちになる。チケットを買った先の待合室は、家族連れと団体でそこそこ賑わっていた。ひとりなのは僕のみ。
銅山内部へはトロッコで移動する。ちょっとしたアトラクションだが面白い。銅山内部は真っ暗でものすごく湿度が高かった。当時がどうだったか分からないが、粉塵が舞いにくいという意味では多少働きやすかったかもしれない。
足尾銅山では前述の通り鉱毒事件もあったし、労働者による暴動事件もあった。しかし、ここにはそういった負の歴史への言及はなく、あくまで家族で楽しむための観光施設だった。入口の作りといいトロッコ移動といい、ひっかかっていたものが氷解し、つまるところがっかりした。全然関係ない話だが、その昔栃木県警がリンチ事件を隠蔽した出来事を思い出し、栃木県には根深い隠蔽体質があるのではないかと勘繰ってしまった。
ホテルは母の実家である足利市駅。最後に来たのは8年前なので随分懐かしい。ただ、鉱毒事件を知ってしまうと、なんでもない渡良瀬川がどす黒くみえる。チェックアウトした後は、夕食がてら駅前を散策。足利に来る時は、基本母の実家に直行なので、どこにでもある土日の賑わいが妙に新鮮だった。