今年の夏休みはシンガポール。ついでにお隣のマレーシア。シンガポールを選んだのはそこが未踏の地というより、長らく会っていない学生時代の友人に会うため。人生半ばに差し掛かっているという自覚は、会える人には会えるうちに会っておこうという気持ちを呼び起こす。歳とともに変わる旅の目的。
空港からタクシーに乗って向かった先は、宿をとったリトルインディア。その名の通り、辺りはインド系の人々で溢れかえっていた。さすがは移民の国。通りにはインド系、中華系、韓国系と様々な種類の店が乱立し、世界中のアジア的なものが一切合切ここに詰め込まれているようだった。いわゆるシンガポールの清潔なイメージとかけ離れた乱雑さに衝撃。もちろん、いい意味で。
ここは生活エリアでもあるのか、生鮮食品を扱う店が多い。未知の食材に心ときめくのはもちろんだが、こういう店にある食べ物がこの国の栄養の源になっていると考えると、バナナひとつとっても興味深い。
そうこうしているうちにお腹が減ってきたので近場で夕飯。インド料理に食指が動きかけたが、初日から激辛料理はリスクが高いので無難に中華を選択。シンガポールの小さなインドで中華料理を食べると考えると、全ての選択肢を間違えたような気分にもなる。が、注文した海鮮系の麺料理は、複雑玄妙な味付けと平打ち麺の組み合わせが完璧だった。毎日食べたい。
リトルインディアにはムスタファセンターという巨大なスーパーマーケットがある。百貨店並みの大きさで、きっと家具以外なら必要なものは全て手に入りそう。ここでお菓子やら生活雑貨を見ていたらあっという間に時間が過ぎる。驚いたのは、レジ担当がほぼ全員ヒジャーブ(頭部を覆うスカーフ)をした女性だったこと。ある意味、これがイスラム圏のリアル。
ホテルの周りを散策してホテルに戻った。問題なのはこのホテルで、それはその圧倒的狭さ。スーツケースを床で広げることすらできないし、大胆に寝返りを打つなんてもってのほか。ホテルというより有料の牢屋といった方が適切。詳細を確認せず値段だけで予約サイトのお勧めを選んだのがまずかった。寝心地はそこそこ。