東欧 / Eastern Europe Part.6 (クリスマスマーケット)

ホテルの洗濯物 [by D7100]

ザグレブに戻ってきた。数日振りにも関わらず、バス停のAutobusni Kolodvorに降り立つと、郷里に戻ったような安堵感に包まれる。ホテルは所々レンガがむき出しになっていて、シーツがこれ見よがしに干されていた。一抹の不安が頭をよぎったが、中に入ってそれは簡単に払拭された。ホスピタリティ溢れる受付の女性に、コンパクトながらもきれいにまとまった部屋。そして、どこへ観光に行くにも困らない立地。値段を考えればパーフェクトとしか言いようがない。


街並み [by D7100]
街並み [by D7100]
クリスマスリース [by D7100]
スケート [by D7100]
マーケット [by D7100]

日が暮れる前に、お土産を買うことにした。目当てはトリュフ入りのチーズ。クロアチアはトリュフの産地として有名らしく、安価で手に入るらしい。しかし、チーズは多々あれど、欲しいトリュフ入りのものがない。長いこと歩いたせいか、くしゃみが何度も出た。

トミスラフ公園の前を歩いていたら、屋内で物産展をやっているのが見えた。期待半分で中へ入ると、入り口と反対側の並びにチーズの専門店が見えた。僕は初めてトリュフを英語風に発音して店員に質問。恰幅のいい男性は「Sure」と言って、奥から大きなチーズの塊を2つ出した。僕は迷わず両方を手に取り、150kuna(≒3,000円)でお会計。大きさとトリュフを考えれば破格の安さと言っていい。多分。


通り [by D7100]
通り [by D7100]
イェラチッチ広場 [by D7100]
通り [by D7100]
通り [by D7100]
聖マリア被昇天大聖堂 [by D7100]
聖マリア被昇天大聖堂 [by D7100]

思ったよりチーズがかさばるので、鼻をすすりながら一旦ホテルへ。真っ白な曇り空はいつしか闇に染まっていて、街は電飾の光でまばゆいばかりに輝いていた。夜のザグレブの美しさに魅了された僕は、期待を込めて大聖堂に寄り道してみた。煌々と照らされる大聖堂は、神聖さの実在の証のようにも見えたし、闇夜の中では冷酷無比な悪の象徴のようにも見えた。


電飾 [by D7100]
ダンス [by D7100]
イェラチッチ広場 [by D7100]
イェラチッチ広場 [by D7100]
イェラチッチ広場 [by D7100]
イェラチッチ広場 [by D7100]
イェラチッチ広場 [by D7100]

薄々気付いていたが、体調が悪い。くしゃみが出るし、若干寒気がする。しかし、最後のザグレブの夜を寝て過ごすわけにはいかない。僕は持ってきた風邪薬を規定量より多く飲んで、無理やり外出することにした。

イェラチッチ広場はクリスマス前夜祭の様相を呈していた。ステージでは伝統的なダンスショーが行われ、その傍らには様々な露店が立ち並び、人々がひっきりなしに往来していた。心温まるクリスマスムードのザグレブ。しかし、心と体は別のもの。寒さで更に体調が悪化し始めたのを感じた僕は、早々にホテルに戻った。そして、布団に包まって死んだように眠りについた。


飛行機 [by iPhone5]

翌日は、時間いっぱいベッドの中で過ごした。尋常でない量の汗をかいて、2Lのペットボトルはほとんど空。体は少しだるいものの、熱は完全に引いた。思えば、時差ぼけと相次ぐ移動の疲れが一気に出たのだろう。1週間で3ヶ国を駆け抜けるという試みは失敗ではなかったが、少し詰め込み過ぎたかもしれない。今回の旅の反省。

帰りはトルコのアタテュルク空港経由で帰国。実は観光するつもりで6時間以上間のあるフライトを選んだのだが、現地が小雨だったために出国は断念。代わりに、あらゆる種類の人間が密集するこの場所で、色とりどりの顔を観察して、死ぬまで訪れないかもしれない飛行機の行先を想像した。こうして多様過ぎる世界の中にいる小さな自分を知る。だから、旅はやめられない。空港のベンチに寝転がって天井を眺めながら、改めてそう思った。いつの間にか、搭乗時刻は間近に迫っていた。

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