先週末の土曜日は、レコード屋に寄るついでにPortobelloという有名らしいマーケットに行ってみた。ここは食器やら骨董品が売られている一風変わったマーケット。小雨が混じる曇天だったが、たくさんの観光客で賑わっていた。カメラを提げてひとりで歩いていると、やはり何組かに写真を頼まれる。何でもない作業だが、僕の切ったシャッターが彼らの思い出の1コマになっていると考えると少し嬉しい。
目当てのレコード屋はRough Trade。その昔、日本にもこのレーベルがあり、中古屋でちょくちょく音源を見かけていた。具体的に好きなバンドがいたわけではないが、知った名前なので店舗があるとなれば寄らずにはいられない。店内は1階と地下があり、地下がアナログ専門フロア。ジャンルは満遍なくあり、パンク/ハードコア系のマニアックな音源も多かった。ただ、値段が1,000円以上するものがほとんどで購入には至らず。帰り際、階段で眼鏡をかけたダンディな男性とすれ違ったら、彼は盛大にずっこけていた。イギリス紳士もこける時はこける。
夜はクラスメートと初のナイトクラブへ。SOHO地区がナイトライフのメッカで、この界隈にはゲイクラブが多いらしい。友人のお勧めもゲイクラブで、僕たちは9時過ぎに待ち合わせをして目的地に向かった。しかし、この日はゲストオンリーの日で残念ながら入れず。仕方がないので、僕たちは怪しい活気に満ちたSOHOから、歩いてOxford Streetへ。この辺りは僕たちには不似合いなセレブ感が漂っていて何となく決まりが悪い。しかも、ほとんどのクラブが会員制で入場不可。結局、僕たちは再びSOHOに戻って適当なクラブに潜入した。
1,500円ほど払って地下に降りると、男女が地中海風の音楽に合わせてダンス中。年齢層も老若男女様々で、いわゆる日本のクラブと違って大人の社交場のような雰囲気。慣れない状況に面食らいつつも、一応中央のダンスフロアに混じって見よう見まねで踊ってみた。しばらくすると、フリーの女性と目が合って、流れに任せて一緒に踊ることに。全然踊り方が分からないものの、向こうがリードしてくれたのでそれなりに様になった。ブラジルの友人の方はとっかえひっかえ女性と踊っていて、ノリの違いをまざまざと感じてしまった。
ロンドンのクラブで気になったのは、ゲイの人々のオープンさ。普通にカップルが抱き合ったりキスをしていたし、ストレートな人々がゲイの人々の間に入って踊ったりしていた。街中でもねっとりキスをしているカップルを何組か見かけた。SOHOがゲイタウンという事情が背景にあるのだろうが、ゲイの人々が自然に社会に溶け込んでいるように感じた。日本にはないポジティブな雰囲気。日本でもこのくらい同性愛がオープンになればいいと思う。
疲れ果ててクラブを出たのは午前2時過ぎ。ロンドンは深夜バスが出ているのでこんな時間でも余裕で帰れる。初めての深夜バスで本当なら浮かれているはずだったのだが、実際はその正反対。何故なら、帰り際に致命的なトラブルに見舞われてしまったから。なんと騒いでいる最中に、バッグの中のペットボトルのキャップが外れ、一緒に入れていた一眼レフが水没してしまったのだ。電源を入れても無反応で、手の打ちようなし。これから旅が始まるというのに本当についていない。家に帰った僕はカメラのバッテリーを抜いて、乾いて再び電源がつくことをただただ祈るしかなかった。