先々週、社用で2泊3日の台北出張に行った。この時期の台湾は太陽光で煮物が作れるくらいに暑い。ホテルから一歩外へ出た途端に世界は一変し、強烈な太陽の日差しに全身を貫かれる。台湾に来て最も異国を感じるのはこの日差しかも知れない。
昼間に雑務をこなして、夜はお決まりの士林夜市へ。夜市のある劍潭駅前には巨大フードコートがあったのだが、行ってみると跡形もなくなっていた。言葉を知らない観光客には格好の場所だったので残念。しかし、夜市全体からするとそれは些細な問題で、士林夜市は相変わらずエブリデイ縁日を地で行っていた。
台北での唯一の発見。それはビンロウ(檳榔)という噛みタバコ。茎のような植物を噛んで快楽成分を経口で摂取する、言わば台湾のナチュラルドラッグ。実際に挑戦してみると、渋みがきつい上に大量の繊維質が口に残るから気持ちが悪い。どうやら噛んで茎からにじみ出る水分は全て吐き出すらしいのだが、知らずにほとんど飲んでしまった。結局、得られたものは陶酔感ではなく純粋な不快感。口腔がんへの着実な一歩。日本では違法らしいが、わざわざこれを持ち込んで噛む人間はいないと思う。
最後に食べた料理の数々。台湾の料理について初訪問の人々に感想を聞いてみると、こぞって味が薄いと言う。日本人はとにかく塩を多用するので、塩分がないと味がないと判断する傾向にある。実際には、台湾料理は多種多様な調味料・香辛料を使っていて味に深みがある。一方で、日本文化の影響か、今回の台湾出張で食べた料理のいくつかは、味付けが日本の料理のようだった。
日本が世界に影響を与えるのはよいことだが、日本も他のアジアの国のよい部分は受け入れるべきだと思う。台湾の食べ物に関して言うなら、魯肉飯とマンゴーのかき氷は是非とも日本で普及してほしい。それから夜市。僕たちに必要なのは、健全でオルタナティブなナイトライフ。