ホテルでシャワーを浴びて休んだ後は、六合夜市へ。正直なところ観光に大きな手応えを感じたかったため、高雄の夜市が頼みの綱。夜市が行われているのは隣の美麗島駅で、駅構内は名前に恥じぬ壮麗なゴシック風のドームになっていた。
六合夜市最寄りの出口を出ると、地面の水たまりが絶えず小さな波紋を作っていた。雨のためか、人混みというほどの混雑はなく、移動する分には快適。しかし、至る所で僕の知らない言葉が矢継ぎに飛び交っていて、ほのぼのした高雄に見られなかった活気をここで感じた。
どんな屋台があるのかと左右に首を振りながら歩いていると、海鮮系の屋台が多いことに気付いた。海岸沿いの地域なので海の幸が手に入りやすいのだろう。僕は手始めに大きな海老を焼いている屋台で海老3匹(≒600円)を買った。買う時に屋台のおじさんに何か聞かれたが当然理解できない。多分ここで食べるかどうかの質問だと思うのだが、海外でのこういうやり取りは地味にストレスになる。
海老を持ってしばらく歩くと、牡蛎の炒め物を売っている店を発見。見ると麺線も扱っているようなので、ここで牡蛎入りの麺線(≒150円)を注文。店主が何か質問してきたのでとりあえず首を縦に振っていると、彼は僕を日本人と見抜いたのか「タベル?」と後ろの座席を指差した。さすがは台湾。僕は笑顔で快諾して後ろの席に座った。そして、中国人の間に挟まって牡蛎入り麺線と海老3匹を食べてすっかりご機嫌。席を立つ時に海老の殻を片づけていると、店主が「ゴミ、ゴミ」と通りの方のゴミ箱を指差した。微塵も笑顔を見せない店主だったが、きっと心優しい台湾人に違いない。
麺線を食べた後は、立て続けにイカの丸焼き、蒸した蟹の足、エビフライ、牡蛎のパイ包み揚げ、スイカジュースを胃に収めた。価格はどれも150円~450円程度なので、これだけ食べても2,500円程度しか使っていない計算になる。六合夜市に来て、高雄に来た甲斐があったと心底思った。食欲は万物の王者。まだまだ食べたいメニューがあったし、是が非でも再訪したい。今度は出来れば友人と。