ぐっすり眠った翌日。煮え切らない空の下、とりあえず近隣を散策することに。すると、早速大きな道路に面したところに慾望情趣用品と冠したアダルトショップを見つけてしまった。駅前のこんな好立地で客が入るのだろうか。そんなことを考えながら、少しづつ脇道へ移動。高雄は京都のように格子状に街が作られているため、よく言えば整然としているし、悪く言えばアジア的な混沌がなく面白味に欠ける。看板の自己主張も香港に比べるとずっと控えめ。
一旦ホテルに戻り、ネットで高雄の観光地を検索。どうやら電車で気軽に行ける観光地は蓮池潭だけの模様。僕はMRTに乗り、数駅先にある最寄りの左營駅で降りた。すると先ほどまで曇りだった天気が雨に変わってしまった。幸先の悪さに僕の目からも雨が降る。それでも目的地の蓮池潭まではバスを使わずに歩いた。
蓮池潭は一周するのに1時間以上はかかりそうな巨大な湖。そして、ここに観光名所が密集している。だが、土曜日にも関わらず観光客はまばらだった。とりあえず僕はのどかな湖と野良犬を眺めながらしばしの休憩。雨はもう止んでいた。ちなみにこの辺は野良犬が多く、注意をしないと犬のフンを踏んでしまいそうになる。
湖沿いに少し歩くと、遠目に鎧を着こんだ巨大な中年男性が見えた。全然知らなかったが、これが世に言う北極玄天上帝像。大きな体躯にはインパクトがあるものの、いかにも観光用に誂えた感じがして盛り上がらなかった。若いカップルに写真を撮ってあげてここは終了。
湖の反対側の道沿いには、八百屋や果物屋が並んでいた。また天府宮という名の寺院もあった。そろそろ小腹が空いてきたのでレストランを探したのだが、ローカルなお店が多く観光客向けのものがない。さすがに地元の老夫婦と相席で臭豆腐をつまむのは気が引ける。ここに来て理解したのは、高雄の人々の観光に対する意識。彼らは自分たちの歴史や文化を利用して金儲けをしようという気概があまりないのではないか。だが、このくらいのゆるさがちょうどいいのかもしれない。
(続く)