香港出張 / Business Trip to Hong Kong Part.10 (上海)

雪 [by iPhone4 + Camera+]
雪 [by iPhone4 + Camera+]

年明け初の香港出張の日にまさかの大雪。地面に広がる水っぽい雪は、海外渡航前の僕にとってはただの障害物でしかない。雪まみれのボストンバッグを持ってかろうじて駅に着くと、改札前にたむろする人々が見えた。不吉な予感。なんと僕が利用する予定の電車は全て運転見合わせになっていた。雪の代わりに降り注ぐ焦燥感。電車がようやく動きだしたのは、駅に着いて30分以上経った後だった。

成田空港についたのは離陸の30分前。急いでチェックインすると、係員のお姉さんが小走りで僕を乗務員用の荷物検査のゲートに案内してくれた。汗を拭きながらゲートをくぐり、続いて出国の手続き。走りに走ってどうにか飛行機に乗ることが出来た。しかし、安心も束の間。やっとの思いで着いたら今度は飛行機がいつになっても離陸しない。どうやら空港側が離陸を全面停止しているらしい。脱力して放心する僕。質問攻めにされるCA。消耗する携帯のバッテリー。


コンビニ [by iPhone4 + Camera+]
カップ麺とビール [by iPhone4 + Camera+]

結局、機内待機は3時間に及んだ。今回、上海経由で香港入りの予定だったのだが、上海-香港の便に間に合うはずがない。しかし既に諦めがついていた僕は、空の上で他人事のようにのんびりと読書。

上海に着いたのはちょうど日付が変わった頃。まずはカウンタを探そうと1階に降りると、航空会社がホテルの手配をしてくれていた。これで少なくともベッドで眠ることが出来ると安堵。中国東方航空に感謝。ホテルに着いて1番乗りでチェックインをすると、受付の男性が中国語でしきりに何か言って受け付けてくれない。どうしたものかと困っていると、同じく経由便を逃した年配の男性がその受付と話し始めた。彼は「2人1組じゃないと泊まれないみたいです」と僕に教えてくれた。そして、これも何かの縁だということで僕たちは一緒の部屋に泊まることで合意。上海にて中年2人の熱い夜に期待と絶望が渦巻く。

部屋に入った時には既に深夜の2時。Wi-Fiの1つも拾えない殺風景な部屋に愕然とするも、空港で寝るよりはましだと心を落ち着けた。ところで、夕飯をろくに食べていないのでどうしようかと考えていると、「何か買いに行きましょう」と彼が誘ってきた。この時、若干彼の日本語のアクセントが変なのに気付き、この人は日本相手に仕事をしている中国人だと確信した。予想は的中。彼は福建省在住で、所有する3つの工場から日本に商品を輸出しているらしい。

僕たちは薄暗いコンビニで缶ビールとつまみとカップ麺を購入。半額出そうと財布を出すと、「後でいいですよ」と彼。部屋に戻ると、親切にも僕のカップ麺から最初に作ってくれた。しかも、計3缶買った缶ビールの残り1缶は僕のためのもの。彼の人柄から親切心がにじみ出ているのを感じた。しかも相手の世話をしながらも、彼は初対面の人間との距離感を忘れていない。カップ麺を食べ終わるまでの短い間、色々と世間話をしてくれた。


ホテル前のコンビニ [by iPhone4 + Camera+]
ホテル前の通り [by iPhone4 + Camera+]
ホテル前の通り [by iPhone4 + Camera+]

朝は8時に起きて、中年男性と一緒にホテルの朝食。料理の写真を撮る僕に、「それは記念になりませんね」と彼は軽く笑った。食事の後は、送迎バスに乗って空港まで。日本人として不義理をするわけにはいかないので、僕は改めて昨日のお金を払うと申し出た。すると、「ありがとうございます。でもいりません。お金はこういう風に使ってはいけません。昨日のお金は仕事でちょっとだけ工夫をすればすぐに出来てしまいます。」と笑顔で返されてしまった。小額なのでまず受け取らないことは分かっていたが、やんわり教え諭すような回答に感心した。


空港 [by iPhone4 + Camera+]

空港について彼にお別れの挨拶。ところが、彼は国際線まで付き添ってくれて、わざわざ係員に事情を説明し、どうすればいいのかを聞いてくれた。見た目はお世辞にも紳士に見えないが、行動と発言は徹頭徹尾紳士そのもの。いわゆる中国の富裕層の紳士とはこういう人を差すのだろう。雪のおかげでとんでもない空の旅になるかと思ったが、棚からぼた餅、意外に実りのある初めての上海だった。

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