土曜日からバンコク経由でラオス旅行。遅れてきた夏休み。早朝のフライトのため、夜中にタクシーで空港へ移動する新たな試み。タクシーの運転手が日本語を多少知っていたため、「いらっしゃいませ」と「ようこそ」の違いを執拗に聞かれた。試されるのは時として英語力だけではない。
空港では有料ラウンジで休もうと思ったが、少なくない人々が並びのイスを3つ確保して大胆に寝ていた。僕もそれを真似して空いているイスで仮眠。どうせ少ししか眠れないだろうと自分の繊細さを気にしていたが、朝5時の空港内のアナウンスが流れるまでぐっすり夢の世界。今後、空港で積極的に寝て行こうと思う。
機内で寝果て、あっという間にタイのスワンナプーム空港に着陸。到着の喜びも束の間、出国カードを書いている時に嫌な文字列を発見した。それはVISA。これはまずいと急いでサービスカウンターへ向かい、VISAは必要かとお姉さんに質問。すると、「What is your nationality?」と返す刀に聞き返された。この「nationality」が聞き取れなくて、今度はこちらがソーリー4連発。5回目のお姉さんの発声はさながら英会話教室レベルのスローさだった。受講料としてチップを払うべきだったかもしれない。
空港内でお腹を満たした後は、離陸まで時間があるのでバンコク観光。市内への移動はAirport Rail Linkを利用した。20分程度で市内に着くから嬉しい。しかも値段は300円弱。日本も公共機関の値段を見直すべき。
終点のPhaya Thai駅に着いたらBTSに乗り換え。BTSの電車の中はラッシュ時の日本の電車に近いものがあり、更に人種が入り乱れているから混沌としていた。知らない人々と密着しながら、今電車の中にいる人間を全員ミックスして搾り出したら一体どんな人間が出来上がるだろうと想像した。
時間潰しの旅に計画はない。僕は記憶の片隅にあったNanaやAsokという駅の辺りで降りようと、Asokの次のPhrom Phong駅で下車した。駅を降りてからは目的もなく線路沿いをぶらぶら。方向としては戻ることになるが、こんな旅もまたよし。
徒歩に次ぐ徒歩。絵になるような景色にあまり出会えず、いたずらに蓄積されてゆく疲労。タイの繁華街を歩いていると、様々な人種だけでなく性的マイノリティの人々をしばしば見かける。タイの社会がマイノリティに寛容というよりは、ほったらかしに近い感じがする。ただ、これにより秩序が乱れるわけでもなく、タイという国のアイデンティティは保たれているように感じるから不思議。現地の人にこの現状をどう思っているのか聞いてみたい。
ハエに囲まれながらタイ料理を食べた僕は、重い足で再び徒歩。そしてChit Lom駅まで歩いて空港行きの電車に乗った。電車の中では、ビールが効いたのか猛烈な睡魔に襲われ終始うつらうつら。壁側の席に座っていて助かった。しかし他人に迷惑をかけなかったとは言え、醜態を晒したのは間違いない。
空港について、まずは預けていた荷物を受け取ることにした。この空港は100バーツで荷物を預けられるカウンターがある。ところがカウンターに行くと、西洋人男性とイスラム系女性の家族が計り知れない量の荷物を預けていて、いつになっても進まない。いくら家族とは言え、あそこまで大量の荷物を持ち込むものだろうか。いつもボストンバッグの僕には考えられない。全ての人にとって身軽さが正義とは限らない。タイの短い滞在で世界の広さをまた少し知った。