久々の香港出張。出発まで随分時間があるので、Deltaのラウンジにて軽くビール。が、当然1杯で収まる訳はなく、予定調和で必要以上に酔っ払ってしまった。当然、離陸時の記憶はなく、機内の凍てつく寒さで戦慄の目覚め。
深夜近くに香港に到着。同僚の香港人と合流し、夜中も賑わう尖沙咀の諾士佛台 [Knutsford Terrace] へ。タクシーを降りて、自己顕示欲の強い看板たちを見ると、自分が日本でなく香港にいることを実感する。
僕たちはいつも行くバーに入り、近況報告をしながらよ閉店までもやま話。お会計の時に店員が「アリガト」と言ってくれたのが心に響いた。たどたどしくも客の母国語を話してくれる姿勢には愛を感じる。こうして僕たちは何か根本的な勘違いをし、店の売り上げに貢献していくのだろう。
帰り道、道路で中年男性が何かを燃やしていた。きっと処分に困ったアダルト雑誌でも処分しているのかと気にしなかったが、香港人いわく今日は「Ghost Festival」らしい。日本で言うところのお盆だろうか。
香港到着の翌日は、諸事情でマカオに緊急潜入。何をしに香港に行ったのかとお叱りを受けそうだが、代わりに日曜に働くので文句を言われる筋合いはない。僕たちは尖沙咀の鼎泰豐 [Din Tai Fung]でお腹を満たしてからフェリー乗り場へ移動。全く知らなかったのだが、マカオは元ポルトガル領ということもあり、出国の手続きがいる。
マカオまではフェリーで1時間。面倒な入国手続きを済ませて、初めてマカオの地に降り立った。香港と同様、快晴の空。湿度は少し低いかもしれない。出口にはコスプレの女性がたくさんいて、興奮するというより不気味さを覚えた。
ホテルについてまずは一服。24階から見える巨大なホテル群が圧倒的。しかし、何故かはわからないが、アジアにある西欧風の建物にはあまり食指が動かない。いかにも取って付けたかのような違和感があり、いわゆる西欧の伝統の重みを感じないからかもしれない。マカオの街全体が、この違和感に包まれているように感じた。
夕飯は内港餐廳というお店でマカオ名物のポルトガル料理。そこで店員が引くほど食い散らかし、胃袋の限界が見えたら、本日のメインイベントであるカジノへ。ギャンブルは一切やらないが、まさか京都に行って神社仏閣への参拝を拒否する訳にはいかない。マカオに来たらカジノ。
カジノに入ると、早速ディーラーVS客というステレオタイプの光景が確認できた。僕は試しに大小というゲームに挑戦してみた。この大小とはサイコロの出目の大小2通りに対して賭けるもので、ゲーム性は皆無。最低の賭け金が300HKD(≒3,000円)で少し高いが、仕方なく300HKDをメダルに交換。が、その300HKDがたった数秒で飲まれてしまった時は慄然とした。ここなら何億持っていようと瞬時に消えてしまうに違いない。カジノは人間の欲望だけでなく、人間そのものも飲み込む危険な生き物。
小一時間カジノで格闘した結果は、15,000円のプラス。スロットゲームに救われた。ギャンブルをやるなら緩やかでゲーム性のあるものがいい。バカラと呼ばれる悪名高いゲームもあったが、一度の大小で嫌な汗をかくくらいなので、もちろん手出しはしていない。ギャンブルは金持ちの道楽。15,000円の勝ちで香港の食費が浮くとにやける人間は深入りすべきではない。