昼前に起床した日曜日。あいにくの曇天のため、今日は家でゆっくりしようと部屋でくつろぐ。が、午後2時を過ぎると気まぐれな太陽が顔を覗かせはじめ、結局外出することにした。行き先は馬鞍山の隣の烏溪沙 [Wu Kai Sha]。馬鞍山駅の終点には何かがあるはず。本当はただ遠出が面倒なだけ。
烏溪沙は殺風景な住宅街で、巨大な高層マンション以外に何もなかった。諦めて帰ろうかと思案していると、家族連れが僕が通った道の脇に逸れて下って行くのが見えた。これは絶対何かある。そう思い、ストーカーモード全開で家族連れを追った。すると、道のわきの看板には白石の文字。そして、生い茂る木の隙間から見えたのは海岸だった。
小さな海岸は、潮干狩りをする人々で賑わっていた。地中を住み家とする小さなカニを踏みつけないように注意しながら、僕は波打ち際まで進んだ。そして、完全にローカル向けの海岸で不審者に思われない程度に写真撮影。この辺りはもう少し探せばもっといい写真スポットがあるかもしれない。それにしても、潮干狩りとは貝にとっては人間によるホロコースト。受難の季節が始まった。
日が暮れる前にサービスアパートに戻った。翌日の帰国を考えると気が重い。早朝のフライトにおける前日の嫌さ加減は筆舌に尽くし難い。寝なければいけないという焦燥感と、万が一寝過ごしてしまったらという不安感。これらの感情に板挟みにされ、睡眠が阻害される。タクシーに乗って空港に行く代わりに、空港を乗せたタクシーにホテルまで来て欲しい。