雪がやみ始めたところを見計らって、外出を決意。まずは最寄りの景福宮(キョンボックン)へ。時折雪交じりになる風が、寒さを超えて痛い。4時頃にたどり着いたら、運悪くちょうど閉館時間で中には入れなかった。写真を撮っていると指先が寒さで硬直する。
行く当てもなく気まぐれで南下。大通りを歩いていると巨大な像が見えた。名君と名高い李氏朝鮮の世宗像。ハングルという独自の文字を制定したのは彼。その背景には、中国への反発という意味合いもあるのだろう。
世宗像から少し南に歩くと、今度は武器を片手に仁王立ちする銅像が見えた。李舜臣と名前が彫られている。聞き覚えがあったのであとで調べたら、秀吉の朝鮮出兵を撃退したのがこの人だった。朴正煕大統領が「日本が最も恐れる人物の銅像を立てよ」と指示し、彼の銅像が立てられたとのこと。両国不和の歴史も思えば長い。
歩いていたら同じく放浪中の同僚と偶然合流し、一緒に散策を続行。ソウルの街並みは、文字がハングルという点を除けば東京とほとんど変わらない。ビルに囲まれたソウル広場にはスケートリンクがあった。
ソウル広場の向かいには徳寿宮という建物があった。どうやら李氏朝鮮の皇帝の離宮として使用されていたらしい。入場料は1,000won(≒70円)と非常に安い。中の喫茶店で飲んだ緑茶(3,000won)より遥かに安かった。若干洋風な静観軒が個人的にお気に入り。それにしても、冬に窓もないこの場所で食事やら休息をするのは不可能な気がする。
ソウル広場から東に歩いていくと、翌日のDMZツアーの集合地であるロッテホテルが見えた。同僚と立ち寄ってみると、中には韓流スターの広告がびっしり貼られていた。客層は日本にいるのかと錯覚するほど日本人が多い。
ソウルにはドーナツ屋が多い。特によく見るのがダンキンドーナツ。ミスタードーナツもちらほらあった。韓国人はドーナツが好きなのだろうか。
ロッテホテルの近くを歩いていたら、飲食店が密集する繁華街に迷い込んだ。つまり、明洞。日本語併記の看板が多く、日本人観光客の多さを物語っている。
夕食の時間なので、地下鉄でホテルまで戻ることに。韓国の地下鉄は日本以上に駅や線の数が多く、更にほとんどがハングル表記。観光マップと何度も見比べて、何とか安國駅に到着した。ここでトラブル発生。駅の改札を出る時に、カードをかざしても通過できない。駅員はどこにもいないし、改札横のHELPボタンを押しても誰も来ない。右往左往した結果、改札横の非常用ゲートが開いていることが分かり、そこを何食わぬ顔で通過。要は乗車駅でサービス停止中の改札を通ってしまったらしい。初めての地下鉄でいきなりの無賃乗車。心より恥じる。
夕食は麻浦という駅のデジカルビ屋へ。人気のお店らしく、店内は大混雑。日本人は僕たちだけで、どことなく肩身が狭い。が、それは最初だけで、気が付けば甘辛の肉をざくざく切りながら焼肉を堪能していた。帰りの電車の中、僕たちは全身からにんにくの臭いを発していたが、既にもう何も気にならなくなっていた。韓国とにんにくは切っても切り離せない。