Wi-Fi難民の旅立ち

週末から友人と 台北 へ。2度目だからか、海外特有の緊張感はゼロ。そして、到着早々サウナのような蒸し暑さに包まれる。
今回の旅の楽しみは、買ったばかりのiPhoneで写真を撮り、Facebookにアップすること。要は筋金入りのSNS中毒だ。
だが、現実は拾えるWi-Fiがことごとく登録制で、早くも詰み状態。事前登録しておけばよかったと、汗と一緒に後悔がにじむ。
迷子の末の阿宗麺線




ホテルにチェックインしたら、まずはガイドブックに載っているものを食べようと、MRTで西門駅へ。
ところが出発早々、道に迷ってしまって最寄り駅に着けない。大都会の迷子。銀色のDiana F+を首から提げた僕は観光客オーラ全開だったに違いない。
西門駅を出ると数年前の記憶が蘇り、目的の 阿宗麺線 は徒歩ですぐに見つかった。45元(≒150円)のミニサイズは意外なボリュームで、とろみスープにモツと香草が香る日本では珍しい一杯。おいしい。
路上パフォーマンスを見ながら街撮り




食後の散歩がてら、どうでもいい被写体をカメラに収めながら西門の通りを歩く。ネオンがまぶしく、音と人が入り混じるこのエリアは、まさに 台北の渋谷 といった雰囲気だ。
路上では、テクノに合わせてヨーヨーを操る男性や、大塚愛の曲に合わせてドラムを叩く女性が観客を集めていた。みんな立ち止まり、スマホを構える。
ふと思う。一体、彼らはあれでどれくらい稼げるのだろう。路上パフォーマンスは面白い反面、妙なもやもやが残る。
交差点でカメラを振り回す夜


ひとしきり歩いたあと、交差点の真ん中で即席の撮影会を始めた。Diana F+で挑む初ショットは夜のバルブ撮影。シャッターを開けている間、車のライトが線になって街を描く。
続いてiPhoneを上下左右に激しく振りながら道路を撮影。台湾に来て狂気に沙汰だが、夜にこれをやると光の残像が抽象画のようになり、なかなか面白い。
とはいえWi-Fiは相変わらず沈黙中。写真は撮れてもアップできず、SNS中毒者の心はすでに乾ききっていた。
記憶が灯る士林夜市へ



歩きすぎて気づけば屋台の営業は終了。仕方なく、淡水線に乗って剣潭駅の 士林夜市 を目指すことにした。ここなら夜でも確実に何か食べられる。
ホームを降りると、見覚えのある通りと人の波。数年前に初めて台湾を訪れた夜の記憶が、まるでフィルムを巻き戻すように蘇った。やはり、五感の中で記憶を最も鮮やかに呼び覚ますのは視覚。
粉雪の甘いフィナーレ






早速、僕たちは士林美食広場という屋台村へ足を踏み入れた。
貪るようにあちこちを眺めながら歩いていると、日本語で店員に声を掛けられる。が、どの店も無理に呼び込もうとはしない。台湾の穏やかな気質というか民度の高さが、こういう場面で光る。
僕たちは定番の台湾料理をいくつかつまみ、締めに名物のカキ氷を注文。粉雪のようにさらさらした食感で、いくらでも食べられる。
友人はこのカキ氷を世界一と認定。おめでとうございます。