修学旅行以来の宇治へ

初めての京都出張。夏の京都は殺人的な暑さ とは聞いていたが、まさかここまでとは。駅に降りた瞬間に地獄の業火に放り込まれた気分。
せっかく宇治まで来たので、仕事を切り上げて少し観光することにした。京都は修学旅行ぶりだが、思い返してもほとんど記憶がない。修学旅行を覚えていない僕の学生時代とは一体何だったのか。
灼熱の平等院鳳凰堂



宇治橋通り商店街を抜け、まず目指したのは 平等院鳳凰堂。さすがは世界遺産、死ぬほど暑くてもその佇まいはどこまでも優雅だ。
平等院鳳凰堂は、英訳すると「Phoenix Hall」となるらしい。その軽々しい響きとは裏腹に、あたりは 一度死んで蘇るどころか、蘇る前に干からびそうな暑さ。まさに生と死の境界を体感できる京都の真夏。
灼熱の宇治上神社






宇治川沿いを歩き、次の目的地は 宇治上神社。ここも世界遺産らしいが、正直ぱっと見はごく普通の神社に見える。歴史の重みよりも、日差しの強さの方が圧倒的。
途中、川辺で優雅にたたずむ鶴のような鳥を見かけた。だが、あまりの暑さに名前がまったく出てこない。ここで問われるのは記憶力ではなく、体力。
煮え切らぬ若者と煮えたぎる太陽



死ぬほどの暑さに朦朧としながら歩いていると、目の前に大きな吊り橋が現れた。中央では、橋の外側に立って明らかに怖気づいている若者がひとり。
磔にされたキリストのような状態で、太陽を浴び続けるのは死ぬほど暑いに違いない。見ているだけでこちらの体感温度が3度上がる。
結局、彼は最後まで飛び込むとなく橋にしがみついていた。僕はその背中を横目に駅へ。この煮え切らなさと、煮えたぎる太陽。
──次に京都に来るなら絶対に秋以降にしよう。
ふらつく足取りで、そう固く誓った。