シェムリアップ / Siem Reap Part.4 (トンレサップ湖)

トンレサップ湖へ向かう朝

トゥクトゥクの運転手 [by ViViCam5050]

カンボジア4日目。今日はガイドブックで見て気になっていた トンレサップ湖(Tonlé Sap)へ行くことにした。乾季と雨季で湖の大きさがまるで別物になるという、自然のダイナミズムを感じられる場所だ。

ホテルの前に停まっていたトゥクトゥクに乗り込むと、運転手のヘルメットに書かれた言葉が目に入った。

Sexually exploit a child, GO TO JAIL (子供を性的に搾取する奴は刑務所に行け)

これには完全同意。運転手と握手をしたい。

衝撃的な水上の暮らし

トンレサップ湖入り口 [by ViViCam5050]
漁師 [by ViViCam5050]
蛇を巻く子供 [by ViViCam5050]
蛇を巻く子供 [by ViViCam5050]
膜つき太陽 [by ViViCam5050]

トンレサップ湖には受付があり、どうやら船での周遊が前提らしい。ただ、困ったことに料金表が見当たらない

仕方なく近くにいた男性に尋ねると、1人25ドルとの答え。あまりに高いと食い下がった結果、最終的には20ドルに下がった。

交渉で変動する時点で、どうにも怪しい。後から調べたところ、金銭トラブルの多い場所として知られていた。

とはいえ、この湖はただの観光地ではない。乾季になると人々が湖上に家を構えて暮らす水上の村なのだ

漁をして淡水魚を獲り、まさに水とともに生きる生活。こんな世界をまったく想像していなかったため、アンコールワットにも匹敵するほどの衝撃を受けてしまった。

船上で見た、もうひとつの現実

たらいを漕ぐ1ドル少女 [by ViViCam5050]
養殖場 [by ViViCam5050]
街並み [by ViViCam5050]
街並み [by ViViCam5050]
空 [by ViViCam5050]

およそ1時間半の周遊が終わりに差しかかる頃、別の船がこちらに横付けしてきた。すると突然、ギラついた雰囲気のカンボジア人が乗り込んでくる。

彼は「運転手は学生で、お金が必要だからチップをあげて欲しい」とセールストークのように畳みかけてきた。もしかすると、日本人客だと見て運転手が呼んだのかもしれない。

その手には乗らないつもりだったが、運転手の感じが良かったこともあり、2ドルのチップを手渡した。観光の裏側には、まだまだ見えない格差と生きるための必死さがある。トンレサップ湖の静かな水面に、そんな現実が揺らめいて見えた。

戦争の記憶が眠る果樹園

トゥクトゥクから道路 [by ViViCam5050]
戦車 [by ViViCam5050]
大砲 [by ViViCam5050]
ヘリコプター [by ViViCam5050]
有刺鉄線 [by ViViCam5050]

若干後味の悪いトンレサップ湖を後にして、次は 戦争博物館 へ向かった。果樹園のような敷地に、戦車や兵器が無造作に点在するシュールな空間だ。

草木が生い茂る園内には、今も無数の地雷が残されているという。ベトナム戦争は、カンボジアにも深い傷跡を残したのだ。

この風景の中で、ふとローズの言葉が蘇る。

カンボジアはアメリカから最も多くの爆弾を落とされた国なんだ

トゥクトゥク運転手と笑顔でお別れ

ホテルへ帰ると、トゥクトゥクの運転手と握手を交わして別れた。同世代の彼は、物腰が柔らかく気持ちのいい人物だった。

チェックアウトして外に出ると、彼がまだ客待ちをしているのが見えた。僕たちは静かな一期一会を噛みしめながら、手を振って笑顔で別れた。

夜景に映るカンボジアの今

シェムリアップ空港の天井 [by ViViCam5050]
飛行機から日本の空 [by ViViCam5050]

カンボジアの夜は、空から見ても驚くほど暗い。電気の通っていない地域がまだ多く、街灯りはところどころにしか見えないのだ。

だからこそ、帰りの飛行機で見たホーチミンの夜景のまぶしさには息をのんだ。まるで初めて夜の空から世界を見た子どものような感動があった。

わずか5日間の旅だったが、心に残るものは多かった。戦争の傷跡に、今も直接的にも間接的にも苦しんでいる人がいるという現実。僕たちは、まだ第二次世界大戦の延長線上にいるのだ

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