北京 Part.5 (故宮博物院)

悩んだ末の故宮行き

北京最終日は、唯一予約を取った(というか取れた) 故宮博物院 へ行く予定になっていた。北京に来てここを外すのもどうかとは思う。

だが、正直なところ3つほど悩みがあった。

まず、中国の歴史は大好きだが、故宮はとにかく広いので途中で退屈になる可能性がある。次に、あの厳重な警備。入場までのチェックの多さを想像するだけで、少し気が滅入る。

そして最後は、ネットの不具合でチケット代(≒800円)が現地払いになっていること。窓口をたらい回しにされる未来が、かなり具体的に見える

ホテルの横で買った煎餅をかじりながら、僕は行くか行かないかを何度も考えた。そして、結論は──

行く。

まだお金は払っていないのだから、面倒な展開になったら途中で切り上げればいい。最悪、空港に早めに行けば済む話だ。

警備だらけの天安門東駅

紫禁城の周辺 [by iPhone]

さて出発だが、チェックアウトのときに事件は起きた。

なんとフロントの女性スタッフにレビューをねだられ、つい オール星5つをつけるという愚挙 をしてしまったのだ。レビュー画面の写真まで撮っていたので、たぶん評価が何かにつながるのだろう。まあ、ここは日中親善だと思って笑顔で対応した。

目的地である故宮博物院はホテルからはそれほど遠くない。最寄りは天安門東駅になる。

駅を出ると、予想通り警備はかなり厳重だった。警備員の数がやたら多く、もはや みんなで警備を見に来ているのではないか と疑いたくなるほど。しかも、自分が出た出口は天安門に出るルートではなかった…。

故宮到着、衝撃の大きさ再び

入口 [by iPhone]
荷物チェック [by iPhone]

ついに故宮に着いた。ここもまた、初めて来た時の衝撃がかなり鮮明な形で蘇ってきた。

とにかく大きい。大きいというより、デカいという表現が適切だろう。やはり故宮は、普通の観光地とは一線を画する。

実は、故宮にいまひとつ気乗りしなかった理由は、広すぎることだけではない。大きすぎて、カメラにうまく収まらないのだ。せっかく撮っても、どうにも構図がイマイチ。

ちなみに、チケットの支払いは 案の定たらい回しにされた。ただ、今回は一往復で済んだので、北京にしてはかなり優しい部類だったと思うことにした。

寒さと門の無限地獄

紫禁城内 [by iPhone]

一応説明しておくと、紫禁城(故宮)は明の永楽帝が15世紀前半に築いた宮殿で、その後は清の時代まで皇帝の居城として使われた場所だ。

前日に『流転の王妃の昭和史』を読み直していたので、気分的には準備万端のはずだった。だが、いざ目の前にすると、やはり気持ちは乗ってこない。

しかも、寒い。北京の刺すような風がどんどん体温を下げてくる。似たような門をひたすらくぐって進むのも もはや無限地獄

その結果、故宮に入る前に45分も費やしたのに、肝心の滞在時間はわずか30分 というとんでもない記録を叩き出してしまった。ただ、今回は2回目だし、しっかり思い出の回収はできたのでこれで満足。

天安門で門前払いされるの巻

最後は天安門広場の方へ戻り、主席の記念撮影をしておこうと思った。せっかく北京の中枢まで来たのだから、1枚くらいは押さえておきい。

ところが、今の天安門はまさかの予約制だった。近くにいた警察に聞いてみても、「No Ticket, No Walk」と門前払いで、まるでこちらが無賃乗車でも企んでいるかのような扱い。

AIに聞くと、別の出口なら目の前まで行けるという返答だった。だが実際には、その別の出口へ出る導線ごと封鎖されていて、話が違うにもほどがある。

一度荷物検査を受けて移動すれば行ける可能性もあったのかもしれない。ただ、あまりうろうろして怪しい動きに見られるのも嫌なので、ここは素直に諦めることにした。

もちろん、ここが首都であり、政治的にも歴史的にも中枢であることはよく分かる。だが、それにしても 一挙手一投足まで管理するようなこの体制はさすがにやりすぎでは と思ってしまう。

午前中だけで、何度パスポートを提示したのか分からない。その分、外国人からすれば治安が約束されているとも言えるのだが(※政治的に不用意な発言をしない前提

ラストは疑似北京ダックで締め

三元橋 [by iPhone]
カフェ [by iPhone]

故宮博物院が終われば、あとは空港へ向かうだけ。ただ、時間にはかなり余裕があるので、どこかで途中下車してのんびりお昼を食べることにした。

途中下車したのは 三元橋。空港快速が出ているハブ駅なので、飲食店くらい山ほどあるだろうと思っていた。ところが降りてみると、そこはビジネス街でびっくりするほど何もない。

回答がめちゃくちゃなのAIを叱りつけて追い込んで、ようやく鳳凰匯購物中心 というショッピングモールを見つけた。選んだのは、その中の香港系らしい潮家巷という店。

北京ダックを食べずにここまで来てしまったので、ささやかな疑似体験として鴨肉の丼を注文した(≒1,000円)。食べてみると、悪くはない。が、メニューを見る限り麺の方が当たりだったのかもしれない。

食後は地下のカフェで一服した。お店の名前は M Stand で、おそらく中国のチェーンなのだろう。店員も親切で、雰囲気もまずまず。

ここまで来てようやく緊張の糸が切れたのかもしれない。カフェインをリアルタイムで摂取しているにも関わらず、危うくそのまま寝落ちしそうになってしまった。

フィナーレは遅延と紛失と炸醤麺

北京国際空港 [by iPhone]

いよいよ旅もこれで終わりと思ったのだが、そう簡単に終わらせてくれないのがここ北京。

まず、フライトが50分遅延した。さらにTrip.comの特典で使えるはずの ラウンジは満席で利用できず、空港でのんびり締める計画はあっさり崩壊した。

そして極めつけは、充電していたモバイルバッテリーが消えていたこと。急いでスタッフに確認したものの、充電中の物を撤去することはないと言う。

前回はトランジットでモバイルバッテリーを没収されたし、ここまで来ると、北京に来るたびにモバイルバッテリーを寄付している気分になってくる。便利グッズではなく、もはや貢物。

それでも最後くらいは中華料理で締めようと、炸醤麺を出している店に入った。写真のセットは麺と具材が別皿になっている高級仕様でちょっと楽しみにしていた。

ところが実際に出てきたのは、具材ではなくタレだけ別という微妙な着地だった。味も特別いいわけではなく、サイドについてきたチヂミのような一品も意味不明。これなら素直にご飯ものにしておけばよかった…。

北京で知る、2つの中国の顔

久々に北京を訪れて、ひとつはっきりしたことがある。次に中国へ行くなら、多分自分は迷わず上海を選ぶ

自由で洗練された上海と、国家と歴史を頑なに守り続ける北京。同じ中国の大都市なのに、続けて訪れるとこの2つはまるで別の国のようだった。街の空気も、人の性質も、居心地の質まで全然違う。

だからこそ、北京に来た意味は思った以上に大きかった。何より12年前の思い出をしっかり回収できたのがよかった。

変わるものもあれば、変わらないものもある。その当たり前の事実が、今回は妙に生々しく胸に迫ってきた。

久しぶりの北京に衝撃を受けつつ、旅慣れた自分には12年前ほどの感動はなかった。その分、物の見方はずっと広く深くなったし、その意味では自分もこの12年で良くも悪くも大きく変わったのだろう。

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