お盆は上海と南京へ
毎年お盆は家でダラダラ過ごすのが恒例だが、今年はふと上海に行こうと決めた。正直、これといった理由はない。ただ、今はビザなしで旅行できるし、12年ぶりに訪れる上海がどう変わったのか見てみたい という好奇心が湧いたのだ。
さらにと欲が出て、南京まで足を延ばす計画も立てた。目的はもちろん 南京虐殺記念館。ダークツーリズム好きとして、歴史の現場を自分の目で確かめる機会を逃すわけにはいかない。
羽田でチェックイン大騒動


当日のフライトは羽田から。オンラインチェックイン済みだから楽勝だろうと出国ゲートに直行したらゲートがうんともすんとも反応しない。
係員いわく、カウンターでのチェックインが必須らしい。つまり、オンラインチェックインをした意味がない。
慌てて1階下のカウンターへ行くと、そこには 絶望的なまでの長蛇の列。間に合うのか冷や汗をかきつつ、中国旅行を舐めていたことを反省。結局、締切10分前にギリギリ手続き完了で搭乗に成功した。
おまけに乗った中国東方航空がフルキャリアだったことを知らず、機内食が出てきて2度びっくり。最近はLCCばかりに乗っていたから、なんだか得した気分になった。
上海到着、Wechat Payの試練!?


3時間ほどのフライトで 上海浦東国際空港 に到着。まずは市内行きの地下鉄の切符を買うことにしたが、実はここが今回の中国旅行の最大の山場だ。
なぜなら今の中国はほぼキャッシュレス社会。電子決済できなければ その瞬間に旅が詰む血も涙もない仕様になっている。
緊張しつつ券売機に相対し、Wechat PayのQRコードを読ませる。その結果、
――あっさり購入成功!
しかも普通に現金の挿入口まであって、肩透かしを食らった。現金がなければ何もできないという噂はなんだったのか…。
キャッシュレスの壁


まず向かったのは市内の中心、人民公園。地下鉄に揺られていると、12年前の上海の記憶が少しずつ蘇ってきた。
約1時間で人民公園駅に到着。人の多さに圧倒されたが、何より決済システム付きのドリンク専用冷蔵庫が気になった。
物は試しとバーコードを読み込ませ、商品をタップ──が、結果は中国語の警告文とともに購入失敗。WeChatは日本語表示にできても、肝心な決済時の画面が読めないとどうにもならない。キャッシュレス社会の壁は、なかなか高かった。
灼熱の上海デビュー



外に出た瞬間、思わず東京に戻ってきたのかと錯覚するほどの蒸し暑さに襲われた。上海行きを決めた時に 気温のことを一切考えなかったのは痛恨のミス で、先が思いやられる。
まずは昼食を求めて後輩おすすめの店を目指す途中、ミステリアスな建物を発見。調べてみると 上海博物館 だった。とりあえず訪問候補としてブックマーク。
少し歩くとコンビニあったので水を買うことにした。中年女性の店員さんが親切にバーコードを出してくれて、読み取ったら無事購入成功。これで上海で生きていけると安堵した。
灼熱の太陽の下をさらに歩くと、新天地 という巨大モールに到着。ここは有名ブランドがずらりと並ぶ、まさに上海版の銀座や六本木といった雰囲気だった。
水餃子テイクアウト事件


ビルに入り地下に降りると、そこは大きなレストランエリア。が、目当ての 紅唇串串香 を探すも、どこにも見当たらない。
地図では確かにここなのに、ないものはない。仕方ないので潔く諦めて、水餃子がメインの 喜家徳 というお店に入ってみた。
勝手が分からないものの、とりあえず店頭のバーコードを読み込んで水餃子と煮物風の料理を注文(58元≒1,200円)。しばらくすると、店員さんがなぜか持ち帰り用の袋を手渡してきた。
どうやらオーダー方法を間違えたらしい。確かにテーブルごとにQRコードが付いていた…。仕方なく袋を開け、店内でテイクアウト飯を食べるというカオスな展開に。
そんな僕を見かねた女性店員が翻訳アプリで「卓上のバーコードから注文するんですよ」とわざわざ教えてくれた。その上、箸や小皿まで差し出してくれるホスピタリティ。彼女のおかげで上海初ランチは一気に忘れられない体験に変わった。
ちなみに水餃子は肉のうまみがぎっしりで生地はもちもち。煮物は肉団子と麩と青菜で、意外なほど優しい味だった。また来たい。
炎天下のチェックイン



満腹になったところで、ようやくホテルへ向かうことにした。泊まるのは上海駅近くの 瑞億軒ビジネスホテル(Ruiyixu Business Hotel)。
最寄りの中山北路駅から歩いたのだが、これが想像以上に遠い。日陰もほとんどなく、到着した時には完全にへとへとだった。
部屋は窓なし仕様ながら、1泊7,000円なら文句はない。何よりありがたかったのは、備え付けの水が2本あること。灼熱の上海で、これ以上の歓迎ドリンクはない。
(続く)