モロッコ / Morroco Part.7-1 (フェズ)

朝食のモロッコ時間、そして意外な出会い

Palais Fez Yahya [by iPhone]

翌朝は朝6時に起きて荷物を整理。今日フェズを発ち、カサブランカへ向かう。旅の終わりがもう迫っていた。

昨日、朝食は8時と決めたはいいものの、7時半になってもロビーは真っ暗。スタッフの姿もなく、まるで時間が止まったような静けさ。

ようやく食器の音が聞こえてきたのは8時過ぎ。そこからさらに待ち、結局 朝食に呼ばれたのは8時半。マイペースなモロッコ時間、昨日のやり取りはなんだのか

薄暗いロビーにはすでに一組のカップルが座っており、見るからにアジア系。所作や雰囲気から日本人 と直感して声をかけると、やはりビンゴ。話してみると、なんと自分とほぼ同じルートを辿っていて、次はスペインへ行くとのこと。

自然と情報交換に花が咲き、最後はやはり モロッコの現金さ が共通の話題に。チップの習慣、不明瞭な会計、強引な勧誘…どうやら皆、同じように翻弄されていたようだ。

寝起きのフェズ旧市街を散策

門 [by iPhone]
スーク [by iPhone]
ラバ [by iPhone]
スーク [by iPhone]
スーク [by iPhone]
お土産 [by iPhone]

モロッコの朝はとにかく遅い。朝9時半にも関わらず無人のホテルを後にして、旧市街の市場(スーク)を歩くと、ほとんどの店がまだシャッターを閉じたまま。

代わりに目に入ったのは、ラバがゴミを運ぶのどかな風景。人と動物が一緒に働く姿は微笑ましいが、よく考えると労働条件はなかなか過酷な気がする。

時間が限られていたため、日本人カップルに教えてもらった タンネリ(革職人街)を目指す。迷路のような路地を抜けると、すぐにツンと鼻を刺す革のにおいがした。

そして、そこへ畳みかけるように、荒々しい客引きの猛攻。工場見学は有料と聞いていたので、全スルーで軽やかにかわした。

その後、偶然立ち寄ったお土産エリアで、モロッカンデザインのコースターを大量購入。1個50DH(≒約150円)と良心的な価格で、しかも値札付き。セールスも強引さゼロで、ゆっくり選べた。

神聖な空間、イスラムの神学校

ブー・イナニヤ・マドラサ [by iPhone]
ブー・イナニヤ・マドラサ [by iPhone]
ブー・イナニヤ・マドラサ [by iPhone]
ブー・イナニヤ・マドラサ [by iPhone]

次に訪れたのは、14世紀に建てられたイスラムの神学校、ブー・イナニヤ・マドラサ(Bou Inania Madrasa)

荘厳な歴史を感じさせるスポットなのだが、入場時に渡した紙幣が大きすぎて、係員から「小銭はないのか?」と露骨に嫌な顔。当然突っぱねたが、旅行者が都合よく小銭を持っている可能性は低いし、この手の配慮のなさには本当にイライラする。

神学校の中は中庭になっていて、四方を囲む建物の壁には風化が美しく溶け込んだ繊細なモザイクがびっしり。まるで礼拝堂のようだが、ここがかつては祈りと学びの場だったと考えると、この神聖な雰囲気にも納得がいく。

周りは観光客でにぎわっていたが、日本人の姿も多く見られた。しかも、全員女性。彼女たちにモロッコの率直な感想を聞いてみたかった。

フェズ最後のミッション:お会計と旅行会社への報告

昼前にホテルに戻り、チェックアウトと同時にお会計。フェズ滞在中はずっと旅行会社とやりとりしていたため、しっかり領収書をもらって即報告

旅行会社からの返答は、「このホテルにはペナルティを課し、一定額の返金を行う」というもの。どちらに非があるのかは結局うやむやだが、対応としては及第点といったところ。

ちなみに前日のディナーで香港ガールズにこの話をしたら、「その旅行会社、最近同じようなトラブルが多発してるらしい」とのこと。どうやら珍しい話ではなかったらしい。

最後の最期で腹立たしかったのが、ホテルのオーナーが「悪いレビューは書かないで」「今ここでレビューを書いて」と懇願してきたこと。現金しか見ていないその姿勢、まさに守銭奴という言葉がぴったりだった。


帰り道、初日に出迎えてくれた白人系のスタッフが、わざわざ迷宮の外まで荷物を運んでくれた。道中、彼は少しずつ話し始める。

うちは小さなホテルだから、悪いレビューを書かれると僕たちは生活できなくなってしまうんです

と涙の訴え。そうかと思えば「日本は本当に素晴らしい国ですね。一度行ってみたい」と褒め殺しも忘れない。

とはいえ、彼の態度は誠実で、きっと彼自身には何の非もない。だが、それでも僕は「今回の出来事は、ちゃんと全部書きます」と伝えた。こうしてフェズのお別れはなんともバツの悪いものになってしまった…。

思いがけない再会、そしてフェズにさよならを

フェズ駅 [by iPhone]
Venezia-Ice Fez [by iPhone]

タクシーに乗ってフェズ駅へ。時間に余裕があったので、駅近くのカフェでひと休み。

香り高いカフェラテとフレッシュジュースを味わうと、不思議なことにこれまでの怒りや疲れが遠のいていく。モロッコの魔力か、カフェインの力か。

時間が来て改札へ向かおうと歩き出したそのとき、背後から声をかけられた。振り向くと、なんと以前のツアーで一緒だったアルバニア人カップル

欧米流に軽くハグを交わすと、「お茶でもどう?」と声をかけてくれた。だが、もうすぐカサブランカ行きの列車が出ることを伝えると、少し残念そうにしながらも笑顔で手を振ってくれた。

たったこれだけの出来事なのに、この旅で出会った数々の人々、その一瞬一瞬が心に浮かぶ。サハラ暴くのツアーに参加して本当によかったと改めて思った。

愛憎入り混じる、すべてが詰まったフェズ。再訪は…きっとない。しかし、良くも悪くも一生忘れられない場所になったことは間違いない。

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