土色の要塞、アイット=ベン=ハドゥの集落へ




午後は、サハラ砂漠前のメインとも言える アイット=ベン=ハドゥの集落(Ait Ben Haddou)へ向かうことに。ちなみに、ここで 新たにスペイン人3名とフランス人2名が合流 し、更に国際色がアップ。
この集落は、モロッコ南部に位置する 日干しレンガで造られた要塞型の集落 で、ユネスコの世界遺産 にも登録されている。砂漠と丘に溶け込むその風景は、映画のロケ地としても有名 らしく期待は高まるばかり。
ここからはガイドがバトンタッチされ、ついに目の前に広がる神秘の遺跡へ。細い川にかけられた橋を渡り、瓦礫とも要塞ともつかない赤茶けた岩山を一歩一歩登っていく。この景色、どこかで見たことあると思ったら、完全にスターウォーズの世界観。
途中、香港から来た女性2人 と話したら、なんとどちらも 日本に来たことがある という。僕が以前、香港によく出張していた話をすると、思わぬ共通点にお互いびっくり。やはり、僕の人生は何かと香港に縁がある。
値切り交渉の行方




ある程度登って、迷路のように入り組んだ細い路地を進むと、素朴な土壁の家々 が姿を現す。陽射しをたっぷり浴びた赤土の壁は驚くほど美しく、やはり一番美しいのは、人工ではなく自然が作る色 なのだと実感した。
また、モロッコ雑貨を並べる露店も至るところにあった。僕が気になる雑貨を見ていると、少し先でイタリア人2人が スカーフをめぐって値切りバトル をしている声が聞こえた。
例のおじいさんの一件でスカーフの値段が気になっていた僕は、彼らに声をかけてみた。彼らの買い値は 80DH とのこと。自分がそれより 20DH 高かったと伝えると、「You are too polite」と笑われた。どうやら僕はまだ交渉の舞台に立てていないらしい。
赤土の頂から眺める壮大なパノラマ




遺跡の頂上に到着すると、目の前には 空と雲と赤土が織りなす壮大なパノラマ が広がっていた。
遠くに広がる古代文明のような集落を眺めていると、まるで 時空を超えて古代にタイムスリップしたような錯覚に陥る。ガイドが「多くの映画の舞台になった」と話していたが、その理由はこの景色を見れば一目瞭然だった。
ちなみに自由時間中に色んなガイドに話しかけられたのだが、話のネタは決まってアニメ。「ワンピース」「ナルト」は定番でいいとして、今回のモロッコでは新たに「呪術廻戦」が加わった。全部知らない・・・。
モロッコ流のティータイム



アイット=ベン=ハドゥの圧倒的な景観に心を奪われ、サハラ砂漠のことをすっかり忘れていた。しかし、旅はまだまだ終わらない。
バスに揺られること約2時間、たどり着いたのは バラのアロマを製造する工場。甘く華やかな香りに包まれて製造工程を見学した後は、まさかのガイドの自宅にお邪魔してティータイム となった。
入口の左手にある大部屋に通されると、ガイドが山ほどのコップと金属のティーポットを持ってきた。どうやら、ミントティーを高い位置から注ぐのがモロッコの流儀 らしく、ガイドは手慣れた様子で美しい弧を描いてサーブしてくれた。
甘いお茶菓子もいくつか出されたが、時刻はすでに午後5時を回っていて、皆ほとんど手をつけなかった。そんな中、ひとり遠慮なく菓子に手を伸ばしていたのは、言うまでもなく僕である。
砂漠のオアシスにチェックイン



ガイドの家から歩いてすぐの場所に、今夜のホテルがあった。真ん中にはプールがあり、 砂漠の中に現れたオアシスのような佇まい。
ウェルカムドリンクをいただいてから部屋に入ると、そこには思いがけず 清潔でおしゃれな空間 が広がっていた。まったく期待していなかったので、嬉しい誤算 だった。
それにしても、プールがあると分かるやいなや飛び込む欧米人のフットワークの軽さ には感服するばかり。荷ほどきをしながら壁越しに彼らのはしゃぎ声をBGMのように聞いていた。
タジンを囲んで異文化トーク



夕飯はまたしてもタジン。もう飽き飽きしているが、決してまずいわけではないので、とりあえず胃に放り込む。
この夜は、香港の女性2人と談笑しつつ、向かいのアルバニア人カップルと「いかに有給休暇が取りにくいか」について語り合った。途中、アルバニア人男性が「あの日本語が思い出せない」と苦悩していたので、「Karoshi(過労死)?」と助け舟を出したら、まさかのドンピシャ。
こんな言葉がアルバニアまで届いていることを 心より恥じる。