エジプトに行くはずが、気づけばモロッコ行きに
SNSを眺めていると、定期的に流れてくるエジプトのポスト。誰の策略なのか知らないが、ピラミッドや遺跡の写真がこれでもかと目に飛び込んでくる。壮大で神秘的な光景に心を奪われ、気づけば「エジプトに行かねばならない」という謎の使命感が芽生えていた。
「よし、来年はピラミッドを見に行こう!」
そう決めたその直後──イスラエルとパレスチナの紛争 が勃発。平和を願う気持ちと、旅行には行きたいというジレンマが交錯する中、残念ながらエジプト行きは断念することにした。
では、どこへ行こうとGoogleマップを開き、拡大・縮小を繰り返した結果、目に留まったのはエジプトの西側に位置する国、モロッコ。食べ物も文化も独特そうだし、なにより、あの サハラ砂漠 がある。
別に砂漠マニアというわけではないが、サハラ砂漠というワードには、旅人の冒険心をくすぐる何かがある。こうして、エジプト行きの予定はモロッコ行きへと華麗にシフトしたのであった。
今回も安定の遠回りルートでモロッコへ



今回のルートは広州 → アムステルダム → カサブランカ。しかも、アムステルダムでは短時間で荷物を預け直さなければならず、なかなかの緊張感。スリル満点というより、むしろストレス満点。
もちろん、お金を出せばもっと楽なルートはあった。しかし、 安いほうを選んでしまう病は根深く、どうやら治る気配はない。そんなわけで、今回も遠回りしながらモロッコを目指すことになった。
出発当日は中国南方航空で羽田から出発。 日本ではあまり馴染みがないが、実はアジアではかなりのシェアを誇る優良航空会社だったりする。機内では映画やドラマが充実していて、退屈するヒマなし。さらに、機内食も意外とおいしくて、想像以上に快適なフライトになった。
広州空港は充電ができない!?

初めて降り立った 広州空港。滞在時間は4時間。出国して観光するには短すぎるが、ダラダラ過ごすには十分すぎる微妙な長さ。
せっかくだし何か食べようと思ったものの、機内食でお腹はパンパン。健康と好奇心の間で揺れた結果、選んだのは 西少爷肉夹馍(Bingz Crispy Burger)という中国式ハンバーガーのお店。
これが大当たりだった。細切れの肉がしっかり詰まっていて、バンズはパイのようにサクサク 。肉との相性がバッチリだった。
この料理は、肉夹馍(ロウジャーモー)というらしく、日本でも流行りそうな予感がする。価格は35元(≒700円)。円安&空港価格を考えれば、むしろ良心的かもしれない。
食後はスマホを充電しようと、空港内を充電スポット求めてさまよう旅へ。しかし、歩いても歩いても 電源が見つからない。一体、どこにあるんだ…。
疲れ果て、もう諦めて座るかと腰を下ろそうとした瞬間、 「USB充电」 と書かれた黄色いシールが目に入った。

そう、最初からイスに座っていれば充電できたのだ。ここまでの徒労にめまいを感じつつ、そっとケーブルを差し込む。
……充電できなかった。
充電口が劣化していて、うんともすんとも言わない。空港に響く無音の絶望 。スマホのバッテリーと共に、僕の広州空港での4時間はゆっくりと消費されていくのであった。
スキポール空港にて、異次元価格の朝食

夜中のフライトだったおかげでそこそこ眠ることができ、気づけば10時間のフライトはあっという間。幸いにもアムステルダム・スキポール空港に定刻通り到着でき、 無事にスーツケースも受け取れた。
ここでの受け取りミスは モロッコ旅行全体をぶち壊す可能性大 だったので、この安心感は通常の3倍増し。さらに、朝7時にもかかわらず、スキポール空港は世界中の旅行者が縦横無尽に行き来していて、気持ちもどんどん高まる。
ちなみに、実は今回のトランジットでトラブルがあったら、 全行程キャンセルしてヨーロッパ旅行に切り替えるくらいのつもりだった。モロッコへの期待が変わらない一方、ヨーロッパにちょっとだけ未練があったのも事実。

荷物を受け取り、乗り換えまで少し時間があったので、朝食をとることにした。選んだのはフードコートのマクドナルド。注文したのは Liverpool Set という、なぜかイギリスの地名を冠した謎のセットメニュー。
内容はマフィンに加えてクロワッサンとフルーツジュースで、お値段は 14.50ユーロ。会計時には特に気にしなかったが、食べながらふと日本円に換算してみると…
2,400円。
インフレ × 円安 × 空港価格の異次元トリプルコンボ により、ただのファストフードがレストラン並みの価格になっていた。
ついにモロッコ上陸!しかし移動は続く…




約3時間のフライトを経て、ついに カサブランカ・ムハンマド5世国際空港 に到着。時間は午後1時を過ぎたところだった。
空港に降り立ち、周囲を見渡すとアラビア文字の案内板やヒジャブをまとった女性たち。それを見て、自分が本当にモロッコに着いたことを実感できた。
まずは入国手続きを済ませる必要がある。しかし、審査が遅いのか、これがまた長い 。40分ほど並んでようやく通過できた。観光客はやはり欧米系が多めだったが、アジア系の姿もちらほら。
今回の旅程は モロッコを反時計回りにぐるっと1周 するプラン。ルートは、マラケシュ → サハラ砂漠 → フェズ → シャウエン → カサブランカ で、壮大なスケールに見えるが、割とモロッコ旅行者にとっては一般的ルートでもある。(ちなみにカサブランカは観光資源が少ないという話を聞いていたので、今回はスキップして最後にした)
ということで、この日はマラケシュに移動することが最大のミッション。まずは空港の券売機でマラケシュ行きのチケットを購入。お値段は220DH(≒3,300円)で、乗り換えを含めて約4時間の移動となる。

出発まで少し時間があったので、駅のそばにあるカフェでカフェラテとサンドイッチを注文した(≒1,000円)。ささっと食べながら店員さんと軽い会話を試みるも… まったく通じない。
モロッコのアクセントはここまで特殊なのかと軽くパニックになってしまった。しかし、しばらくして店員さんが僕を呼ぶ言葉を聞いてすべてがつながった。
「ムッシュー!」(フランス語で「紳士」の意)
そう、彼が話していたのは 英語ではなくフランス語 だったのだ。
(続く)