マラケシュへ、異国感たっぷりの鉄道旅


まずは カサブランカ駅 から Casa Oasis駅 へ移動。
車内は混んでいたが、どうにか座席を確保。約30分後、駅に到着して外に出ると程よい暑さに包まれた。しかし、湿度が低いおかげで意外と快適。
驚いたのは、駅の出口に書かれていた「SORTIE」の文字。アラビア語と並んでいるが、間違いなく英語ではない。となると…
やはりモロッコでは 外国語=フランス語 なのかもしれない。
モロッコ鉄道のリアル

マラケシュ行きの電車を待っていると、ふと視界の隅に ホームの壁をよじ登る若者たち の姿が。これは… 無賃乗車 を試みている!?
見なかったことにしようとスマホで地図を眺めていると、地元の中年男性が彼らに注意をし始めた。しかし、若者たちは完全無視。
結局、大事には至らなかったが、この光景を目にして 自分が新興国に来たこと を実感した。
やがて、マラケシュ行きの電車がやってきた。乗り込むと、一応トイレも完備されていて設備は十分かと思いきや、空調がまったく効いていない。座っているだけで汗がにじんでくる。
さすがに耐えきれず、しばらく 風通しのいい車両の接続部分で涼をとる作戦 に。しかし、乗客が減ってきたタイミングで空いているコンパートメントに入れてもらうことに成功した。(あとで知ったのだが、実は座席指定されていたらしい)
同じコンパートメントには アジア人男性 と モロッコ在住のフランス系女性2人。途中で砂漠が見えて、写真を撮らせてもらったのをきっかけにモロッコの話を色々聞くことができた。
ついにマラケシュ到着!


午後 6時半、ついに マラケシュ駅 に到着。日は傾いているものの、まだまだ明るい。
駅舎の入口はガラス張りで、緻密なデザインが施されていて モロッコの美的センスが全開 だった。
建物の中にはマクドナルドもあった。海外の初めての土地で マクドナルドを見つけた時の安心感 は計り知れない。もしも、外食難民になったらここにこよう。
マラケシュのホテルでチップの洗礼




Casa Oasis駅での無賃乗車騒動で治安が少し不安になったものの、マラケシュに着いてみると まったく問題なし。 駅前の両替所付近に物乞いがいるくらいで、しつこい客引きも皆無 だった。
今回のホテルは駅周辺だったので、徒歩15分ほどでスムーズに到着した。ホッとしたのも束の間、ここで 新興国の洗礼 を受けることになる。
ホテルのエントランスに入ると、白い制服を着たモロッコ人ポーターが やたら丁寧にお出迎え。チェックインを済ませると、彼はにこにこしながら荷物を運び、部屋の設備を細かく説明してくれた。
そして最後に、満面の笑みで 「チップ、よろしくね!」
久々の 真正面のチップ攻撃に完全に面食らう。しかも、相場もよく分からない…。
とりあえず 10DH(≒150円)を渡してみたものの、彼は「もっと必要だよ!」と強気の交渉モードに。
結局、30DH(≒450円)を渡すと満足げに去って行った。
あとで相場を調べたら 5~10DHが普通 らしい。完全に払いすぎたが、まあ勉強代かなと自分を納得させることにした。
とはいえ、肝心の ホテル自体は大当たり。
十分な広さの部屋は清潔感があり、掃除も行き届いていて コスパは抜群。ポーターのチップさえ気をつければ、なかなかいいホテルだと思う。
モロッコといえば…やはりタジン




ホテルでひと息ついたあと、日が落ち始めた頃に夕飯へ出発。
まず感じたのは、マラケシュの 街並みの統一感。モロッコの建物は茶色ベースのものが多く、どこを歩いても景観が整っていて美しい。
道も意外と整備されているし、大きなゴミ箱があちこちにあるので、ゴミが散乱している感じも少ない。さらに 売店が多くて便利。 2日間は快適に過ごせそうな予感がする。
せっかくモロッコに来たなら 名物のタジン は外せない。 ということで、タジン料理をメインに提供している Dar Lkamoun というレストランへ入った。
店員さんはとてもフレンドリーで、メニューやタジンの種類を丁寧に説明してくれる。どれにしようか迷った末に選んだのは、 ラム肉のタジンとオレンジのフレッシュジュース。
まずは前菜として、丸いパンと4種類の付け合わせが登場。これが思った以上にパンにマッチして、ついつい手が伸びる。
そして、メインのラム肉のタジンが到着。
野菜とスパイスが絶妙に絡み合い、しっとり煮込まれた骨付きのラム肉もおいしい。これで 75DH(≒1,200円)なら、満足度はかなり高い。
旅は移動の連続なのか、それとも…?
食後は売店で水とお菓子を購入し、ホテルへ戻って今日一日を振り返った。
改めて考えると、 マラケシュ到着までに飛行機20時間+電車4時間。ここまでの行程は 旅行というより、ひたすら移動 だった気がする。
しかし、視点を変えてみれば
──旅行とは移動であり、移動こそ旅である
という哲学的な境地にたどり着く。
イスラムの神様にでも、この気づきを得られたことに感謝を捧げたいところだが、「移動は結局移動」という説も否定しきれない。ともかくは 無事にモロッコに着けてよかった という事実だけを書いておこう。