ドイツ&北ヨーロッパ / Germany & North Europe Part.5-2 (リューベック)

ハンブルク駅 [by iPhone]

ブクステフーデのショートツアーを終えて、リューベックに行くべくハンブルク中央駅に移動。駅に着いたら、ハンブルク名物のシナモンロールを買うことにした。その名をフランツブロートヒェン [Franzbrötchen] 。意図的にパンを潰しているらしく、見た目は完全に失敗作。コーヒーにちょうどいい甘さで美味しくいただいたが、これひとつで1食分に匹敵する満腹感がある。


リューベック駅 [by iPhone]
リューベック駅 [by iPhone]
ホルステン門 [by iPhone]
運河 [by iPhone]
街並み [by iPhone]
市庁舎 [by iPhone]
市庁舎 [by iPhone]

ハンブルクから北東に1時間ほどでリューベック [Lübeck] に着く。リューベックは中世の頃にハンザ同盟の盟主として貿易で強勢を誇った、北ドイツでも最も著名な都市のひとつ(と書きつつ自分はハンザ同盟がかろうじて頭の片隅にあった程度だが)。ハンザ同盟は最盛期には70もの都市が加盟していたらしく、これを知るとドイツの国家統一が遅かったのも頷ける。地方分権の風土は言語にも現れていて、ドイツは方言が非常に多く、ハンブルクで話される低地ドイツ語は他の地域とかなり違うらしい。

リューベックの旧市街は世界遺産に登録されていて、その入口を飾るのがホルステン門 [Holstentor] 。レンガの重さで真ん中が陥没して傾いているらしいが、言われなければ気付かない。いわばドイツ版ピサの斜塔。ホルステン門をくぐるとゆるい上り坂になり、しばらく歩くと豪華絢爛なゴシック風の建築物が見えた。なんとこれがリューベックの市庁舎。行政施設にしては派手すぎるが、実際に今も機能しているらしい。日本も行政機能をお城にしたら面白そう。


ブライテ通り [by iPhone]
ブライテ通り [by iPhone]
市庁舎 [by iPhone]
ニーデレッガー [by iPhone]

市庁舎の反対側に出るとブライテ通りという大通りにでる。市庁舎の存在感もさることながら、大通りの建物はひとつひとつの装飾が緻密で、それらが一気に視界に飛び込んでくるとヨーロッパの文化の強度に悪酔いしそうにすらなる。この通りに来たのは、先輩おすすめのニーデレッガー [Niederegger] というマジパンのお店に行くため。マジパンはドイツ名物のチョコ菓子。ここでお土産をいくつか買って、ついでにトイレも借りた。ヨーロッパあるあるだが、街にトイレが少ないので入れそうなところがあれば必ず行くべし。


聖マリエン教会 [by iPhone]
聖マリエン教会 [by iPhone]
天文時計 [by iPhone]
パイプオルガン [by iPhone]
講壇 [by iPhone]
祭壇 [by iPhone]
聖マリエン教会 [by iPhone]

次は市庁舎近くにある聖マリエン教会 [St. Marien] へ。赤茶のレンガが印象的なゴシック風の教会で、中は天井がとてつもなく高く、厳粛な空気で満たされていた。キリスト教は天使と悪魔の二元論を基調としているが、ゴシック様式の教会で感じる雰囲気には聖にも邪にも振れそうな紙一重の際どさがある。一方、東方正教会になると聖一色で、これは根本的には宗教性と言うより民族性の現れなのだろう。

他に興味深かったのは、ペストの巻物。通称死の舞踏で、ペストを象徴する骸骨と犠牲者の王族が手を繋いで踊りを踊っている。それほどにペストが猛威を振るった当時は死が身近だったとも読めるし、悲惨な死を迎えた人たちを慰めているようにも読める。しかし、ペストという厄災はキリスト教的価値観で解釈するなら人間に対する罰ではないのだろうか。そうだとすると神罰と共存するようなこの絵は全く解せない。もしコロナが僕たちの価値観を変えたように、ペストも当時の人々の価値観をがらり変えたとするならば、この絵のもつ矛盾点そのものが価値観の地殻変動の萌芽を物語っていると言えるかもしれない。

(続く)

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