ハンブルクの移動式遊園地






ブクステフーデ、リューベックと散々歩き回った後、たどり着いたのは ザンクト・パウリ(Sankt Pauli)。
ネオンが灯り始めた通りを歩いていると、近くに 移動式の遊園地 を見つけた。これまで見てきたこの手の遊園地は、どれもこじんまりとしたサイズのものばかりだったが、ここは桁違いに大きい。店の造りや装飾にも手抜かりがなく、アトラクションも本格的。
遊園地の中央にそびえ立つのは、垂直に円を描きながら上昇し、ビルの10階ほどの高さで回り続ける絶叫マシン。遠くから見ているだけで、定期的に悲鳴が響き渡っている。
これはもう乗るとか乗らないとかの次元ではなく、完全にアウト。絶対に乗りたくない。
ジャガイモとロンドンの関係性



歩き回って空腹もピークに達していたところ、運良く遊園地内にレストランを発見。フロントは屋台風で寒そうだったが、中に入るとしっかり暖房が効いていて快適だった。
注文したのは、ジャガイモとスパムのような加工肉に目玉焼きを乗せた一皿。見た目はシンプルそのものだが、こういう素朴な料理が案外うまいことも多い。
ひと口食べると、ジャガイモはしっとりホクホクで、加工肉はしっかり塩気が効いている。無心でジャガイモを食べていたら、ふと ロンドンに留学していたときを思い出した。揺るがない「イギリス=ポテト」のイメージ。
レーパーバーンはビートルズの街!?





遊園地から少し歩くと、ついに ハンブルク随一の歓楽街、レーパーバーン(Reeperbahn)に到着した。通りを歩くと、店舗のネオンがギラギラと妖艶に光り、まるで 人の欲望を可視化したような街並み が広がっている。
本来なら女性と一緒に歩くような場所ではないのだが、行ってみたい場所があった。実は、レーパーバーンは ビートルズの青春時代とも言える街。無名時代の彼らがライブをしていた伝説のライブハウスがここにあるのだ。しかし、
──到着してみるとまさかの閉店。
残念ではあったが、ビートルズとハンブルクの結びつきを感じられただけでも面白い体験だった。ジョン・レノン曰く「僕はリヴァプールで生まれ、ハンブルクで育った」とのこと。
それにしても、ピンクのネオンが妖しく光るこの通り。人通りも少なく、地元のギャングに絡まれそうな雰囲気が漂っている。道端で怪しげな取引が行われていても、何の違和感もない。
世界で最も罪深い1マイル

レーパーバーンは、別名 世界で最も罪深い1マイル とも称される。
その中でも特に異彩を放っているのが、メイン通りを外れたところにある 飾り窓 と呼ばれる売春ストリート。ここは未成年と女性は立ち入り禁止という徹底ぶりで、入口にはグラフィティがびっしりと描かれていた。
灯りはぼんやりと薄暗く、グラフィティ塗れの壁がただならぬ雰囲気を醸し出している。しかし、勇気を出して足を踏み入れると、平日のせいか中はガラガラ。
ショーウィンドウには女性の姿はなく、ポツンと寂しく置かれたイスだけが並んでいた。本来なら人の欲望が渦巻くはずの場所が、静まり返った無人の空間になっているのは逆に薄気味悪い。平日に訪れる飾り窓は、まるで西洋版のお化け屋敷。
締めくくりは、クリスマスマーケット





レーパーバーンの夜を歩き回った後、最後に立ち寄ったのは クリスマスマーケット。ここは最も人口密度が高く、バンドの演奏が響き渡る中、人々がお酒を片手に賑やかに楽しんでいた。
露店を覗くと、可愛らしいクリスマス雑貨に混じって アダルトなパロディグッズ が普通に並んでいる。この性に対するカジュアルさには、文化の違いを感じるとともに失笑を禁じ得ない。
3都市を制覇した一日を振り返る


帰りは水上バスで対岸に渡り、先輩の夫さんに迎えに来てもらって車で帰宅。
たった1日でブクステフーデ、リューベック、そしてレーパーバーンという3拠点を巡るハードスケジュールを無事にこなせた。体力的にはかなりきつかったが、満足度は極めて高い。しかも、今回は現地の専属ガイド(先輩)付きなので、ひとり旅とは比べものにならない情報量があった。
ソファに寝転がって写真を眺めると、思い出が洪水のように押し寄せて頭の整理がつかない。そして、寝返りを打とうと体勢を変えたとき、ふくらはぎがパンパンに張っているのに気付いた。つまり、頭も脚もパンク寸前。ある意味、これは良い旅ができた何よりの証拠だろう。