翌日は先輩と北ドイツ観光。地元のブクステフーデ [Buxtehude] の旧市街を歩いてから、北東のリューベック [Lübeck] に行くことにした。
まずは朝食を食べに近くのカフェへ。冬のヨーロッパは日が短いので、朝7時半でも外は薄暗く、そして寒い。目的のJunge Die Bäckereiというカフェは、旧市街の入口にあった。空間作りが秀逸で、店内には高い天井を活かした大きな植木や円筒のランプシェードがいくつもあった。席間が広いのもうれしい。
ここを選んだのは、Mettbrötchenという生の豚肉のミンチが乗ったパンを扱っているから(ちなみにMett=豚のミンチ、Brötchen=パン)。日本では食べられないシロモノなので期待は膨らむ。食べてみると、豚肉自体の塩分が濃く、生ハムを乗せて食べる感じに近かった。パンそのものもおいしく、このカフェが近所に出来たら週2回は利用したい。
ブクステフーデは、ハンブルクの西南にある地方都市で、「ウサギとハリネズミ」というドイツの童話の舞台らしい。ドイツ中部を縦走するメルヘン街道の一部ともなっており、隠れた観光名所と言えるかもしれない。様々なショップが入り混じるメインの通りは、歩くにつれ味のあるレンガ造りの建物が増えていき、足元も石畳になってゆく。気が付けばメルヘンの世界に迷い込んでいるような不思議な感覚。
先輩お勧めの映えスポットは、教会の尖塔が遠くに見える袋小路。どこにでもありそうな風景だが、小路の先にレンガ造りの建物が配置されるだけで絵画のような構図になる。旧市街は観光資源も豊富で、ゴシック様式の聖ペトリ教会 [St.Petri] や 中世の遺産と思しき軍事要塞など様々。郷土博物館もあるし、じっくり見ようとしたら半日ではとても足りないかもしれない。ハンブルクから1時間もかからないし、ドイツのローカルな雰囲気と伝統を落ち着いて満喫したいならお勧めの街。自分にとっては先輩がいなかったら一生訪れることがない場所なので、その意味で非常に価値ある体験だった。
(続く)