何を思ったのか、男4人で台北に弾丸旅行へ行くことになった。海外旅行に行こうという話はその場限りで立ち消えるのがセオリーだが、流石は身軽な40代。軽いノリがすぐさま現実になる。
タイガーエアで安めのチケットを取ったので、フライトは早朝。そのため、やむなく羽田空港のカプセルホテルに前泊することにした。空港直結のホテルなので少しはのんびりできると思いきや、受付からの「タクシーはご利用されますか?」の質問に絶句。国内線と国際線の距離感をすっかり忘れていた・・・。
致命的な勘違いをしたものの、ホテルには大浴場もあるし居心地はいい。何より出発前のワクワク感は格別。「旅の醍醐味は目的地に着くまで」と言えば、それっぽい名言に聞こえなくもない。
僕と友人の羽田組は無事に桃園国際空港に到着した。そこそこ睡眠も取れて割とすっきり。ところが、SIMを調達して成田組の2人に合流しようと思ったら、隣のターミナルに行けず路頭に迷ってしまった。スタッフに聞いても全然分からない。思えば、台湾に来たのはコロナ前。そもそもターミナルが2つあったのかも覚えていないし、リニューアルにしてもきれい過ぎる。まさか、違う世界線の桃園空港に来てしまったのか。自分の記憶がここまでおぼろげなら、今日が初台湾と言っても問題ない気がする。
無事に成田組と合流し、男4人でランチを求めてバスで市内へ。外に出ると、キンキンに冷えた車内とのギャップが凄まじいが、暑さは東京と変わらない。台北が涼しくなったというより、きっと東京が亜熱帯化している。西面の街並みは相変わらずで、足りないのは人混みだけ。
友人が選んだのは天厨菜館という中華で、狙いは北京ダック。台北で北京かという議論は認めるが、豪華なモノといえば北京ダックと相場は決まっている。青島ビールで乾杯をして、あれこれ注文。北京ダックの味もさることながら、ひとり旅ばかりしている人間からすると海外で仲間と食事ができるということ自体が楽しい。ひとり旅の食事は黙して栄養摂取。
たんまり食べてほろ酔いになった後は、ホテルにチェックイン。台北車駅付近の宿を取ったので歩いて向かった。今回全員同じホテルにしたのだが、お金より快適さを選んで各自1部屋。しかも、ひとり旅では絶対選択しない高級仕様で、ベッドが2つもあって広々快適。外が見えない代わりに、フェイクの窓が付いている演出が憎い。
今回の旅はほぼノープラン。とはいえ、初台湾のメンバーがいるので観光地巡りをすることになった。まずは恒例の台北101。89階からの眺めはいわゆる大都会で、東京とさして変わらない。街は都会になればなるほど、表情は均一になって魅力は失われる。それはさておき、ここでみんなで記念撮影をして、僕は黙々と自撮りにいそしんだ。40代になっても10代と行動パターンが変わらない。
あっという間に夕方になり、ディナー前に中世紀念堂に行くことにした。ここは広場といい紀念堂の中といい、開放的な広さが魅力的で、ここに来ると台北に来たことを実感できる。ただし、蔣介石に対して様々な思いがある台湾人の気持ちを考えると、声高に好きだと言えない負の遺産としての側面もある。
(続く)