宮城 / Miyagi Part.1 (南三陸村)

小牛田駅 [by iPhone]

今年のゴールデンウイークは珍しく宮城県へ小旅行。そろそろ12年前に起きた東日本大震災の爪痕を見に行ってもいい頃合いでは、と自分の中で折り合いがついた。本当はもっと早くに訪れたかったが、コロナもあったし、何より震災直後に打ちひしがれている人々のところへ行くのは気が咎める。

初日の目的地は、深刻な被害受けた町のひとつである南三陸村。前日に古川というところに宿を取って、当日は電車で移動した。小牛田(こごた)駅でかわいいワンマン電車にのって、柳津(やないづ)駅からはバスで移動した。風は強いが天気はよく、絶好の観光日和となった。


南三陸町庁舎 [by iPhone]
南三陸町庁舎 [by iPhone]
南三陸町庁舎 [by iPhone]
祈りの丘から [by iPhone]

小綺麗な志津川駅は川沿いにあり、橋を越えると震災の記念公園がある。周辺は驚くほど清潔でまっさらだったが、それだけ被害が大きかったことの裏返しとも言える。

記念公園には、骨組みだけの南三陸町庁舎が周囲との調和を拒んで立ち尽くしていた。3階まで及んだであろう津波の高さを目の当たりにすると言葉が出ない。誰が3階建てのビルが飲まれるほどの津波を想像するだろうか。ここで住民のために津波の警報を発し続けて亡くなられた職員がいたが、その方を含め43名もの方がここで命を落としており、自然の無慈悲の前に一切の思考が止まる。


高野会館 [by iPhone]
高野会館 [by iPhone]
高野会館 [by iPhone]

道路を挟んで高野会館という結婚式場がある。ここも震災遺構として保存されており、中は水害と経年劣化で見る影もない廃墟になっていた。外から津波の高さを示す青いマークが見えるが、改めてこの高さの津波が来たと考えるとにわかに現実とは思えない。幸いなことに屋上までは浸水せず、避難できた方々は救出されたようだ。


商店街 [by iPhone]

再び駅前に戻ってお昼を食べることにした。駅前には青空マーケットのような商店街があり、食事処からお土産屋まで所狭しとお店が並んでいる。観光客もかなりいて、人気店は行列で入れないほど。ひとり旅の僕はテイクアウト可能なお店で海鮮丼を頼んで、強風に煽られながら海の幸を堪能した。ちょっとした寄与の精神で、普段なら(値段的な意味で)まず買わない帆立と牡蠣の鉄板焼きも食べてみた。美味しかったのは言うまでもない。


331メモリアル [by iPhone]
331メモリアル [by iPhone]

最後はメモリアルミュージアムに立ち寄った。展示は少ないが、有料で学習型の映像コンテンツが見れる。時折質問が出てきて周囲とのディスカッションを求められるが、僕はひとりで黙想。映像のメッセージを要約すると、災害の規模は誰も予想ができないから、常にどうするかを考えておくことが重要とのこと。しかし、津波が迫ってきて、近くの屋上に行くか、遠くの高台に行くかと言われたら自分なら絶対に屋上に行ってしまうと思う。


南三陸町 [by iPhone]

展示にあった南三陸町の被害者の数字から比率を計算してみると、実に5%の人が行方不明か死亡していることになる。海岸沿いのエリアではその比率は更に上がるだろうし、戦争が起きたのと変わらない被害を被ったと言える。

絶望的な被害を被った南三陸町の人々の悲しみはすぐには癒えない。復興もまだ道半ばだろう。それでも、町が活気を取り戻していたことに大きな希望が見えたし、その意味でこの時期に来たのは正解だったと感じた。南三陸町の美しい空と海を眺めながら。

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