Boy Erased / Garrard Conley (2016)

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矯正」という名の迫害

映画 「ある少年の告白」 を見て、結構な衝撃を受けた。

1970年代のアメリカでは、キリスト教的道徳の観点から 同性愛者を性的倒錯者として入院させ、治療対象にしていた らしい。教室で前に座らされ、自己暴露による反省を強制させる生徒の姿は痛々しい・・・。

同性愛は科学的に正常か?―― 多数派の論理と社会の偏見

今でこそ、セクシャリティは先天的なもの という理解が浸透している。しかし、歴史上、ほとんどの国は、男女をペアとして考え、実際大半の人間が 異性を愛してきた

そう考えると、同性愛は正常であるという科学的裏付け がない世界で、彼らが迫害に近い扱いを受けるのは ある意味でやむを得なかった のかもしれない。

実際、宗教的制約がない日本 ですら、ゲイの人々は 長年メディアで嘲笑の対象 になっていた。

未知を受け入れるために必要なこと

生まれながらの性的志向を、社会的な同調圧力で変えさせられることほど、辛く、屈辱的なことはない だろう。

運よく多数派に生まれた人々は、たとえ理解できずとも、未知に対してどのような心構えをするか はもっと公的に議論すべきだと思う。

結局のところ、これは 固定概念をどう壊すか という問題なのだ。

アーティスティックか、単に分かりづらいか

ちなみに、原作の 「Boy Erased」(小説版)は、映画版と同様、時系列が激しく前後する 上に、出来事が断片的に語られる ので、とても分かりにくい。

きっと 心理的な混乱そのものを表現する 作者の意図だと思うが、よく言えばアーティスティック、悪く言えば 中身が入ってこない 作品だった。

少なくとも、僕の英語力の問題を差し引いても、映画の方が圧倒的に分かりやすく、面白かった というのが率直な感想。

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