チェルノブイリ前日のキエフ3日目は、事前学習のために国立チェルノブイリ博物館へ。最寄り駅へのローカルバスのチケットさばきにも慣れてきた。はるばる地下鉄を乗り継いで着いた先はコントラクトーバ プローシャ駅 [Kontraktova ploshcha]。駅前は様々な店が立ち並び、観光地の賑わいだった。
徒歩数分で博物館に到着。質素で目立たない入口をくぐると、予想だにしない光景が目の前にあった。原発関係のモノクロの展示の中央に、何故か楽しげな表情の白虎隊と女の子と鶴のマネキン。そして、そのそばには日本語に翻訳されたウクライナの詩が掲げられていた。シュール過ぎてこれが国営なのかと疑いたくなるが、きっと福島の原発事故に共鳴したのだろう。そう信じるしかない。
2階は2階で素人学生がディスコに飾り付けをしたような混沌の空間。もちろん貴重な資料や写真は山ほどあるのだが、静謐の対極にある状況になじめない。恐怖を強調したいのは分かるが、もう少し何とかならなかったのか。色々勉強になったが、目移りするものが多くて集中し切れなかった。
博物館でぐったりしてしまったので、気分転換を兼ねてレストランを探した。入りやすそうなイタリアンがあったが、決めかねてしぶとく歩いていると、なんと例のプザタハタの別店舗を発見。安定の味と価格はコスパが非常によく、このチェーンは日本に是非とも進出して欲しい。
食後は目的もなくドニエプル川沿いを徒歩。湿度は低いが、真夏の日差しに汗が止まらない。壁の落書きを見ながら殺風景な通りを歩いていると、川に浮かぶ教会が見えた。格調高い宗教建築の後ろは、見渡す限りの空と雲。偶然見つけた絶景に暑さも吹き飛んだ。
日が暮れるまでにはまだ時間があったので、昨日入れなかった聖ソフィア大聖堂の庭園に行くことにした。歩き疲れたので、中に入って聖なるベンチで高貴に休憩。落ち着いた雰囲気で中世にいるような気分に浸れる。写真撮影不可なのが残念だったが、聖堂内のフレスコ画は圧巻だった。
最後は独立広場へ戻った。大通りの沿道に人だかりができており、背伸びをして見たら軍事パレードだった。規律正しい軍人の行進と迷彩色の戦車の群れ。戦車をこんなに近くで見たのは初めてだったので、テンションが上がって戦車と自撮りしてしまった。いい写真に満足した僕は、近くのカフェで黒ビールを1杯。続けて2杯。結局、キエフの中心で飲んだくれて1日は終わった。