3日目の朝。鹹豆漿を食べたくて、30分ほど歩いて世界豆漿大王というお店へ。店員のおばさんは日本人の心をくすぐる完璧な片言対応。が、ここの鹹豆漿は酸味が強く、求めていた味とは若干違っていた。鹹豆漿は奥が深い。
この日は市内観光で淡水へ。時季外れなのか、メインの淡水老街は閑散としていた。川を渡った向かいの漁人碼頭に行こうと思っていたので、川沿いのお店でフェリーのチケットを購入。フェリーに乗り込む時に豪快に頭をぶつけたが、周囲のリアクションは皆無だった。
漁人碼頭は海辺のリゾート地のような街並み。目の前に大きな橋が運河に架かっていた。強風に逆らいながら橋を渡ると、そこは人っ子ひとりいないゴーストタウン。デパートは客より店員が多いし、リゾートホテルの窓を見る限り誰も泊まっていない。ひと月前なら事情は違っていたのだろう。そう信じたい。
漁人碼頭があまりに寂しかったので、淡水に戻って昼食。食べたのは阿給(あげ)という不思議な名物料理。厚揚げの中に春巻きが入ってる。阿給よりも、ついでに頼んだ魚丸湯というスープの方がおいしかった。台湾料理は薄味のものほどおいしい。
淡水の後は、中心地に戻ってベタな観光地巡り。まずは龍山寺。信仰心ゼロだが、神社仏閣巡りは楽しい。
次の中正紀念堂へ着いた頃にはもう日が落ちかけていた。蒋介石が台湾で何をしたかはともかく、観光地としてお気に入りの場所。紀念堂の中に入ろうとしたら、警備員のおじさんに「日本人か?」と声をかけられた。頷くと、紀念堂の門が閉まる時刻だから是非見たほうがいいとのこと。やがて定刻になり巨大な扉がゆっくり閉まったが、それは閉まる扉以外の何物でもなかった。
締めは夜市。既に恒例となりつつあるが、台湾在住の友人におすすめの夜市を案内してもらった。訪れたのは臨江街観光夜市。小籠包に始まり、おでん(甜不辣)、かき氷、牡蠣オムレツ、台湾ゼリー(愛玉)を食べて大満足。喧騒の中で周りを気にせず食べる開放感がまたいい。猥雑な夜の活気を凝縮した夜市には、日本のどこを探しても見つからない混沌と魅力がある。