7月末に久しぶりの台湾旅行。ただし、今回ははっきりとした目的があった。それはロンドン時代の友人の結婚式。文化も風習も違う異国での結婚式への参加は人生初。しかも、新郎の付添い人を勤めるという大役を仰せつかってしまった。
ちなみに今回の移動は、羽田から初の松山空港。市内に近いというか、完全に市内に位置している空港なのでとにかく便利。ここを知ってしまうと、もう成田-桃園は使えない。
まずはホテルにチェックインするために移動。最初は日本と同じ程度の暑さと楽観していたが、歩いていると日差しの強烈さに挫けそうになる。お昼も過ぎてお腹も減ってきたので、北門駅の地下街で食事をすることにした。ピータン豆腐と酸辣炸醤麺。味は上々。
ホテルにチェックインしたら夕方まで何もすることがないので、近くの西門界隈を散策。何度も来ているので街並みに新鮮味はすっかりなくなったが、それでも立ち並ぶ屋台には心が躍る。異国に焦がれる想いが最後に向かう先は、街並みでも友達でもなくきっと食べ物。小吃万歳。
夕方は台湾在住の日本人の友人と合流。なんでも台北には自転車のレンタルサービスがあるらしく、自転車で彼の自宅界隈までサイクリングすることにした。新しい台北の楽しみ方。自転車は台湾メーカーのGAINT製で、乗り心地は快適。ペダルを漕いで観光エリアを離れるにつれ、自分が台北に溶けこんで行くように思える。生ぬるい風も不思議と気持ちいい。
適度な運動の後は、友人行きつけのお店で夕飯。滷味という台湾の煮込み料理。実際、この料理を扱う店はよく見るのだが、注文方法が分からないので今までスルーしていた。食べてみると全ての具材に濃厚なスープが染み込んでいて実においしい。脂っこい訳でもなくしょっぱい訳でもなく、これぞ台湾マジック。
滷味で満腹になった上にマンゴーのかき氷を胃に収めても、締めはやはり夜市。ここは永和楽華夜市という夜市で、絢爛豪華な入口に度肝を抜かれた。密集した屋台の湿度と熱気を味わうと、自分の体温までもが上がるような気がする。
夜市を往復した僕たちは、近くの公園をのんびり歩きながら社会やら恋愛についてしみじみ語り合った。同じ日本に生まれながら、日本に残る人間と日本を離れる人間がいる。いずれにせよ、自己のアイデンティティを認めてくれる国が本当の故郷になっていくのだろう。果たして僕の故郷は本当に日本でいいのだろうか。電車の漢字だらけの広告を眺めながら、僕は小さなルーツ探しの旅を始めていた。