日記は生もの。記憶には鮮度がある。乾いてしなびた思い出を引きずり出して書く日記は徒労という他なく、それはゴールテープが切られた後に始めるマラソンに近い。何事もタイミングであり、僕たちは日々たくさんの見えない締め切りに追われている。Memento Mori。Carpe Diem。日本語で手頃な慣用句が思いつかないが、つまり「今を生きる」ということに尽きる。たまには怠慢が僕を成長させる。
6月頭に社内イベントで行った葉山マリーナでのBBQ。色々あったが楽しいひと時だった。最近は食材から備品までレンタルのサービスを提供している施設や会社が多く、金さえ払えば事前準備が非常に楽になる。実は葉山マリーナを訪れるのは初めてで、時々海を眺めながらのBBQは気持ちがよかった。海と空の間には誰のものでもない自由な空間が広がっていて、それこそが僕たちが最後に求める場所であるように思えた。こういう時には、暗い海の下で黙々と泳ぎ続ける魚たちに少しだけ憐憫の情が湧く。
BBQの後は、近くにある保養所で2次会。携帯用の人生ゲームがあったので、酒を飲みながら数人でプレイした。久しぶりに遊んだ人生ゲームは、ルーレットでお金をもらうか失うかの2択しかないので実に単調。そして、ゲームの最後には順位に応じてお金が貰え、車に乗った同乗者までもが金に換算される。こんな無味乾燥な取引が人生の訳がないとあざ笑う一方で、あながち否定しきれないこの世の無情な摂理に気付いてしまった。ただ小さな紙幣をたくさん貰えれば嬉しかった幼き頃。人生が換金できることに一抹の寂しさを覚える今の僕は、きっと成長して何かを覚え、成長して何かを忘れたのだろう。