高雄最終日。またもやカメラ泣かせの曇り。夜市でやるべきことはやり尽くした感があり、惰性の観光であることは否めない。ネットで調べたところ、高雄85ビルという有名な高層ビルがあるようなので、重い腰を上げて三多商圏駅に移動。駅から5分ほど歩いてその高層ビルに着いた。見上げると確かに高いビルだが、僕の胸は高鳴らない。写真を撮っている最中に車に轢かれかけた時は、別の意味で胸が高鳴った。
常に付きまとう下水の臭いを嗅ぎながら駅に戻った。すると駅前で人間を模した不気味な魚のオブジェを見つけた。アシッドな色使いが寿司好きの僕の心をくすぐる。僕は一眼レフでこのオブジェを執拗に撮影。そんな僕をベンチからちらちら見るカップル。そして、そのベンチにはまた別の魚のオブジェが腰を下ろしていた。ベンチに座る男、女、魚。シュール過ぎる三多商圏駅前。
三多商圏駅の後は、高雄最大のショッピングモールと噂のDream Mallへ。確かに巨大だったが、買いたい物は何も見つからなかった。こうなると、僕に残された楽しみは食事だけになる。お腹も随分減ってきたところなので、地下のフードコートで食事。悩みに悩んで、魯肉飯と貝のスープの定食を選んだ。味はそこそこ。
まだ出発までは時間があったので、中央公園駅で途中下車。ここは公園の他に若者向けの店が密集していて、日本で言うところの渋谷や原宿に近い。実際、原宿と名のつく広場があったが日本の原宿との関係は分からない。
その原宿を歩いていると「台灣獨立」の旗を掲げながら歩いている集団を見かけた。その中に若い人はあまりいなかったので、きっと若年層にアピールする狙いがあるのだろう。台湾は中国本土との関係から国際的地位が曖昧なので、こういう運動が起こるのは至極当然。親日の背景にはこのような政治的な要因もあるのだろうと感じた。
そろそろ時間が迫ってきたので、2時間前に着く段取りで空港へ向かった。が、空港の駅に着いて念のため旅程を確認してみると、何と自分が思っていたよりも出発時間が1時間早かった。つまり自分がチェックインするのは離陸の1時間前で、大幅な遅刻になる。途端に激しさを増すスーツケースの音。上がる心拍数。滲む汗。同じく空港に行く人々を追い越し、どうにか間に合った。休む暇もなく飛行機に乗り込んでほっと一息。こうして初めての高雄旅行は慌ただしく幕を閉じた。次は六合夜市に寄って、のんびり台南と台中へ遊びに行こう。