今週は大阪出張。先週の香港から移動に次ぐ移動で疲れが取れない。慣性と疲労の間に存在する負の法則。
ポイントカードの支配力。目の前の店で事足りるのに、僕たちを50m先の店まで歩かせる。金の亡者。数字の奴隷。自由を欲する僕は、断固としてポイントカードを拒絶している。アパホテルを除いては。
真冬の怪談。チェックインをして部屋を探す時、僕の隣室の扉に部屋番号が書かれていないことに気づいた。ところが、風呂と洗濯から戻ると、その扉に「707」の番号がついていた。無いことを不思議に思って立ち止まったほどだから、1時間前に番号がなかったことに間違いはない。急遽人を泊めることになった事故物件なのだろうか。
覗き穴から漏れる明かりを見ながら、僕は前日のことを思い出した。反対側の部屋から、大きな物体が壁に叩きつけられる音が何度もしたのだ。左右の部屋から不気味な怪現象。残念なことに、この状況でも夜中から朝までぐっすり快眠だから、これ以上広げる話がない。YouTubeで稲川淳二の怪談を聞きながら、僕は木槌を叩いて全ての怪談に創作との判決を下す。
僕は霊の類を一切信じていない。しかし、霊を信じないことは、霊を怖がらないことを意味しない。どんな無神論者も、お腹が痛くて駆け込んだ公衆トイレが長蛇の列だったら、きっと何かに祈るはずなのだ。