この前の日曜日は、カメラへの情熱を胸にLomoショップのある上環(Sheung Wan)へ。香港の東北部に滞在しているため、南の香港島にある上環は気分的に小旅行。ここは香港名物の高層ビルも眺められるが、基本的には古き良き香港の街並みが根を下ろしている。特に気になったのは乾物屋が乱立している点。香港の乾物屋は扱っている商品の幅が段違いで、ヒトデや得体の知れないキノコなど日本人には馴染みがないものばかり売っている。乾物屋街を散策していると、中国の歴史の深さと同時に、よい意味での節操のなさを強烈に感じる。「四つ足で食べない物は机と椅子だけ」とはあながち嘘ではない。
東の方に少し歩くと香港の街の喧騒は薄れ行き、西洋化された別の香港が現れ始める。香港島の他の地域と同様に、上環も西洋人と西洋人向けの建物が多い。Lomoショップがあるのもそんな一角。洒落たガラス張りの店内に入ると、中には僕と男性店員の2人だけ。マンツーマンの気まずい雰囲気が漂う。そんな中で割引のカメラをじっくり眺めていると、店員が何やら広東語で話し始めた。ふと彼を見ると、彼は店内にたったひとりの客である僕をしっかりと見ていた。Lomoショップで香港人に間違われる男。僕は高らかに日本人宣言をして、持っていたDiana F+について彼と軽く言葉を交わした。僕が香港で仕事をするのはある種の運命なのかもしれない。