シェムリアップ / Siem Reap Part.2 (アンコールワット)

自然が遺跡を包む、タ・プローム寺院

タ・プローム寺院 [by ViViCam5050]
木に座る子供 [by ViViCam5050]
スポアンという木の根 [by ViViCam5050]
瓦礫と木 [by ViViCam5050]
瓦礫 [by ViViCam5050]

カンボジア2日目。今日は一部で名の知れたガイド、ローズとともに アンコールワット(Angkor Wat) を巡ることにした。

最初に訪れたのは、映画のロケ地としても知られる タ・プローム寺院(Ta Prohm)。12世紀末、アンコール王朝のジャヤヴァルマン7世が母を弔うために建立した仏教寺院らしい。が、現在、遺跡の大部分は崩れ落ち、石の瓦礫となってあたりに散らばっていた。

その隙間をぬうように生い茂る巨大な木々を見ると、まるで自然が時間ごと遺跡を包み込んでいるようだった。文明の終わりと自然の始まりが同居するような風景には、ただただ圧倒される。

バイヨンの微笑みと停電の昼

タ・ケウ寺院 [by ViViCam5050]
バイヨン寺院の彫刻 [by ViViCam5050]
四面像 [by ViViCam5050]
クメールの微笑み [by ViViCam5050]
女の人の像 [by ViViCam5050]
バイヨン寺院内部 [by ViViCam5050]

次に向かったのは、かつて宇宙の中心と信じられていた バイヨン寺院(Bayon)。こちらもジャヤヴァルマン7世が建てており、およそ1,000年前の壁画や彫刻が、今なお美しい状態で残されている。

特に印象的だったのが、四方に顔を持つ巨大な石像。その表情はどこかクメール人(カンボジア人)に似ていて、穏やかで包容力があった。

カンボジアの遺跡は、ほぼすべてのエリアを自分の足で歩けるのが魅力だ。まさに遺跡のテーマパーク。観光というよりハイキングに近い。


昼前に差し掛かると日差しが強烈になり、僕たちは逃げるように早めの昼休憩を取ることにした。

遺跡の近くにレストランがあったので、そこでココナッツカレーを頼んだ。味はタイのカレーよりやや甘く、スパイス控えめで食べやすい。

食後、しばらくのんびりしていると、ふいに店内の照明が消えた。天井のファンも止まり、あたりに奇妙な静けさが広がる。

スプーンを手にしたまま僕たちは顔を見合わせた。

──なんと停電

最初は冗談かと思ったが、ここでは日常の一コマ らしい。

アンコールワット──神秘と現実が交差する場所

入り口の道 [by ViViCam5050]
水面に映るアンコールワット [by ViViCam5050]
塔と空 [by ViViCam5050]
通路 [by ViViCam5050]
内部 [by ViViCam5050]
仏像 [by ViViCam5050]
塔 [by ViViCam5050]
神々しい空 [by ViViCam5050]

午後はいよいよ念願の アンコールワット へ。12世紀初頭、スールヤヴァルマン2世によって建立されたヒンドゥー教の寺院(後に仏教化)で、クメール建築の頂点と称される。

実際に見てまず驚かされたのは、その広大な敷地。そして、全体をすっぽり包むような神々しい空。

──カンボジアの空は、今にも落ちてきそうなほど近くに感じる

アンコールワットには、自然と人工の建築物の調和が生み出す神秘が宿っていた。パワースポットとはまさにここ。


長い石畳の道を抜け、ゆっくりと遺跡の内部へ。すると、扇子を手にした小さな女の子が「1ドル、1ドル」と繰り返しながら近づいてきた。

言葉の意味も知らず、ただ教えられたセリフを口にしているのだろう。その姿に、暑さとやるせなさが入り混じり、僕は静かにその扇子を受け取った。

プノンバケンの丘の僧侶たち

プノンバケンの丘 [by ViViCam5050]
空 [by ViViCam5050]
僧侶と夕日 [by ViViCam5050]
夕日 [by ViViCam5050]
夕日を眺める人々 [by ViViCam5050]
夕日 [by ViViCam5050]

日が暮れる頃、僕たちは プノンバケンの丘(Phnom Bakheng)へ向かった。緩やかな山道を登っていくと遺跡が現れ、その階段を上ると夕日観賞のスポットにたどり着く。

丘の上には、すでに多くの観光客が集まっていた。夕日待ちの人の群れを見渡すと、その中には僧侶もいる。彼らが仲睦ましげに写真を撮り合っている光景は、実に俗っぽい…。

屋台にみる貧困の風景

屋台 [by ViViCam5050]

美しい夕日を見届けたあと、6号線沿いの屋台街で夕食をとった。BBQ串2本とビールで1.5ドルだから本当に安い。

串を頬張っていると、ふと子供たちがすぐそばに立っていることに気づいた。すると、ローズは何も言わず、空になったビール缶をその子たちに渡した。あとで聞くと、缶は換金して小遣いになるのだという。

食事が終わり、ローズと別れた。彼はカンボジアを心から愛し、この国に誇りを持っている男だった。

日本語が非常に堪能なので、歴史や政治について濃い話ができたのが何よりの収穫。彼と語ることで、カンボジアの抱える暗い過去を改めて理解した。

賑やかな屋台街で空き缶を待つ子供たちの存在が全てを物語る。アンコールワットの衝撃とカンボジアの抱える貧困の光景が、この日僕の頭のまわりをぐるぐる回っていた。

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