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自然が遺跡を包む、タ・プローム寺院





カンボジア2日目。今日は一部で名の知れたガイド、ローズとともに アンコールワット(Angkor Wat) を巡ることにした。
最初に訪れたのは、映画のロケ地としても知られる タ・プローム寺院(Ta Prohm)。遺跡の大部分は崩れ落ち、石の瓦礫となってあたりに散らばっていた。
その隙間をぬうように生い茂る巨大な木々を見ると、まるで自然が時間ごと遺跡を包み込んでいるようだった。文明の終わりと自然の始まりが同居するような風景には、ただただ圧倒される。
バイヨンの微笑みと停電の昼







次に向かったのは、かつて宇宙の中心と信じられていた バイヨン寺院(Bayon)。ここにはおよそ1,000年前の壁画や彫刻が、今なお美しい状態で残されている。
特に印象的だったのが、四方に顔を持つ巨大な石像。その表情はどこかクメール人(カンボジア人)に似ていて、穏やかで包容力があった。
カンボジアの遺跡は、ほぼすべてのエリアを自分の足で歩けるのが魅力だ。まさに遺跡のテーマパーク。観光というよりハイキングに近い。
日差しは昼前からすでに強烈で、僕たちは逃げるように早めの昼休憩を取ることに。
遺跡の近くにあるレストランで、ココナッツカレーを頼んだ。味はタイのカレーよりやや甘く、スパイス控えめで食べやすい。
しばらくのんびりしていると、ふいに店内の照明が消えた。天井のファンも止まり、あたりに奇妙な静けさが広がる。
スプーンを手にしたまま僕たちは顔を見合わせた。なんと停電。最初は冗談かと思ったが、ここでは日常の一コマ らしい。
(続く)